「海賊、ディスコ王になる/Bet on my Disco」

郷愁を誘うディスコ・フィーバー


  

今回もソウルで買ってきてもらったDVDを紹介します。
そこそこヒットした「海賊、ディスコ王になる」。タイトルからどんな内容なのかはだいたい想像が付くような...。

出演者で目を引くのは、主役三人組の一人にヤンドングンが出ていることでしょうか、この人なかなか味がある役者さんです(ガッツ石松みたいだけどね)。しかし、この三人組がどう見ても高校生には見えないわなぁ。その辺はまぁいいことにしましょう。
舞台はどこなんだろう? ソウルではないちょっとした(かなり?)田舎街。時代も今よりは少し前なんだろうか。

元気に高校生活を送っている男子三人組。彼らの前には、希望こそないけれど、ありあふれているのが元気と時間。このぐらいの連中って、元気と時間を有意義に使ったためしがない。彼らも同じようにくだらないことやケンカに費やしてしまう。しかし、こいつら仲の良い三人組ならもう少しお互いの家庭のことを知っていても不思議ではないような気もするけどなぁ...(まぁ、いいか)。
そんなある日、街のショーウィンドウでまぶしそうに洋服を眺めている美少女(ハンチェヨン)に、三人組のリーダー格のイジョンジンが一目惚れしてしまうことから物語りは大きく動き始める。

しかし、出てくる仕掛けやエピソードのどれもが、なぜか懐かしく古めかしいのが笑ってしまう。笑ってしまうという表現ではなく、思わず微笑んでしまうというか、頬が緩む。そんな仕掛けの数々がいい。
今でもこんなクラブがあるのかと思ってしまうようなクラブに、ディスコホール。こんな親分はもういないに違いないようなキャバレー(ディスコホール)のオーナー。純真な少女が、怪我をして入院した父親の医療費を稼ぐために水商売に足を踏み入れる。男気を出して友人のために家業を手伝う友達。こんな場所でダンス教室なんかしても絶対にはやらないに違いない、などなど...。

この作品は、主人公たちと同じ年齢層の若者が観ても「ふ〜ん」で終わってしまうのかもしれない。そうではなく、この映画で再現されている一昔前の時代に青春時代を送ったおじさんたちが、郷愁を覚えながら心の中で拍手を送る、そんな作品ではないでしょうか。

肩がこらず、気軽な気持ちでそこそこ楽しめる、そんなコメディ映画に仕上がっています。日本で劇場公開されるにはもう少し外的要因(出演者が爆発的にブレイクするなど)が必要かもしれませんが、何かの映画祭などで上映されるときにはご覧になっても損はしないと思います。
タイトルの「海賊」の意味がさっぱりわからなかったけれど、主役のイジョンジンのあだ名みたいですね。

おしまい。