ネバーランド

誰かボクを連れてって!


  

久し振りに試写会へ。しかも厚生年金の大ホール。気合があんまり入っていなかったので上映時間ぎりぎりに駆けつけたのですが、運良くそこそこ見やすい座席を確保できました(良かった)。
今回拝見したのはジョニー・ディップ主演の感動作「ネバーランド」。お正月第二弾で公開されるようです。この映画、正直言って前知識も何もなく、そのままの気持ちで座席に座りました。

簡単に説明すると、間違いなく感動作なのですが、冷静になれば不倫風のメロドラマ。恐らく肉体的な不倫はなかったと思うんだけど、精神的にはずいぶんといっている。これは、見方を変えるとかなりツライお話しだ。
いや、実はそんな風に捉えてはいけないのだろう。「ピーター・パン」誕生の陰にあった秘話なんです。こんな美しく少年のような心を持った劇作家と、その着想のヒントを与えた一家の精神的な交流を描いているのです。是非、そう解釈してください。

才能はあるが、なかなか当たらない(芝居が興行的に成功しない)劇作家バリ(ジョニー・ディップ)は、ケンジントン公演で着想を練るのが日課になっていた。彼の芝居が初演されたあくる朝も公園へ出かけたバリはふとしたきっかけからディヴィス家の5人と出会う。シルヴィア夫人と男の子ばかりの4人兄弟。夫人はご主人と死別したばかりだった、息子たちも父を失った際に負った心の傷がまだ癒えていなかった。バリとディヴィス一家の交流が始まる...。

そうか、ピーター・パンはこんな背景があって生まれたのか。知らなかった。
今でも世界中で公演されているこの芝居は、こんなに人間臭いバックボーンがあったとは驚いてしまう。
ボクが思ったのは、人間にとって一つの愛を貫くことは難しいということ。何も、若い頃に出会う人が生涯にわたって最愛の人かどうかはわからないし、そのときはお互いにそう信じていても、それは違うかもしれない。人間は生きていく限りどんどん新しい出会いがあり、刺激を受ける。その時点その時点で、愛情の対象や愛情表現の仕方が変化しても、それはそれで仕方ないね。
いやらしい意味ではなく、才能もお金もそして機会にも恵まれ、なおかつ決断力と信念があるバリがうらやましくて仕方ない。
愛情とは何か、幸せとは何か。立ち止まってじっくり考える必要がありそうです。

シルヴィア夫人役にケイト・ウィンスレット。あかんかったとは申しませんが、この役にはもう少し線が細い女優さんの方が良かったような気がします。
ピーター少年にはフレディ・ハイモア君。名子役だそうで、確かに芝居は上手かったけれど、ボクにはおサルさんに見えて仕方なかったなぁ...。
まぁ、世の中満点の作品なんてありません。ラストは涙腺が弱い方は要注意。ボクもうるっとしてしまいました。まずまずのオススメです。梅田では三番街シネマで1/15から公開されるようです。

おしまい。