機関車先生

安心して感動できますよ


  

この映画、もう何ヵ月も前から予告編を見ているような気がする(特にシネカノン神戸)。おかげで、伊集院静の原作まで読んでしまった(感動した!)。
いつからかな? と思っていたら、もう公開されていたのか。

動物園前のシネフェスタを出て、新今宮の駅へ向かう交差点で信号を持っているときに、何故か虫の知らせか、テアトルに電話をかけた「今日の“ドット・ジ・アイ”混んでますか?」って。そしたら、今日から時間割が変更されていて、ドット・ジ・アイは夕方から1回のみの上映になっている。「ありゃぁ〜」イカに喰われてしまった! 電話して良かった。
環状線に乗りながら、どうしようかなと考える。取り敢えず、テアトルまで行って、時間割と相談するとしようか。

「それでは...」と優先順位で考えると後回しになっていた「機関車先生」を観ることにする。
これがなんと、カウンターでチケットを買うと、渡された整理番号は「63」。思わず「これって、本当に63番目ですか?」と聞き返してしまった。
結局、右手にある大きい方のスクリーンがほぼ満席。これにはちょっとびっくり、さすが機関車、いやさすがお盆だ。
63番目に入場したけれど、まずまずの席を確保できました、良かった。ちなみに同時に購入した「ドット・ジ・アイ」は「9」。

この作品は、原作から大きく逸脱していないので、安心して観ていられる。強いて言えば「二十四の瞳」の昭和版かナ。
この映画で時代を特定するキーワードは「月光仮面」がリアルタイムで放映されていること。すると設定は昭和33年(1958年)ごろになりますか。

ラスト、先生が島を離れるシーンでは、劇場のあちこちからすすり上げる音が聞こえてきました。
でも、ボクはなんだかなぁ。へそ曲がりなのか、そんなに感動しなかったかなぁ。
ボクが感動しなかったから「いい映画ではない」のではなく、この作品「いいお話し」です間違いなく。
ただ、ボクは既に原作を読んでおり、そこで思いっきり感動していたので、映画を観ることがその「おさらい」になっていた(ちびっと、もったいなかったなぁ)。

主人公の坂口憲二、ボクはこの映画で初めてこの人を知ったんだけど、なかなかいい。同じ教師役なので「ホタルの星」の小澤征悦と比べてしまうけど、坂口憲二の方がいい(ちょっと単純に比較するのはかわいそうな気もするけど)。
身長、体格、精悍な顔立ち。どれもいい。
あとは、別の作品でセリフをどこまでこなせるかを拝見してみたいと思います。

子供を使うのはずるい(?)けど、やっぱり芸達者の子供はいいね。特にいいのが、漁師のお父さんを亡くす子と、声が大きくて元気のいい女の子。この二人は輝いていた。でも、他の子はなぁ。特に眼鏡の網元の息子はもう一つ。
堺正章はどうしたことか、ぜんぜん元気なかった。特に声が出てなかった(どうしたことでしょう?)。
写真でのみ寺島しのぶが一瞬登場(声の出演もあった?)。この監督の前作が「ヴァイブレータ」だったからかな?

舞台の島もいい。昭和の時代にタイムスリップしたようなこの島がいい隠し味になってる。でっかいクスノキもあるしね。
「どら」で清酒金陵を大塚寧々のお酌で飲んでみたいと思ったのは、ボクだけでしょうか?

ストーリーそのものが、すっきり爽やかなお話しなので、ほんとうに安心して観ることが出来、そして爽やかな感動を味わうことが出来ます。
今回はお話しそのものまで踏み込んでの紹介は敢えてしませんが、おすすめの一本。小学校3、4年生以上のお子様と是非一緒にご覧いただきたいですね。
そんなお時間が取れない方は、せめて原作を読んでみてください。文庫で出ています。映画本編をご覧になる予定の方は、読むのは映画を観てからの方がいいと思います。

おしまい。