永遠の片想い

心衝かれる


  

ソンイエジンとチャテヒョンと言えば「初恋死守決起大会」と同じ。それにこの作品では、イウンジュも加えてこの三人が主役。
ボクはこの春先にソウルで入手した英語字幕つきのDVDで観てしまっている。
当初、「恋愛小説/Lover's Concerto」というタイトルで紹介されていたけれど、付けられた邦題は「永遠の片想い」。今までひどい邦題が付くこともあったけれど、これはなかなかいいと思います。
平成淀川花火大会が挙行され、サッカーのアジアカップのテレビ中継がある晩に映画館へ足を運ぶのはよっぽどの変人なのか? シネ・リーブル梅田は、やっぱり10名ちょっとと淋しい入りでした。

粗筋は理解してたつもりだけど、日本語字幕があるのとないのでは大違い。
それに、今回は間違いなくギョンヒ(イウンジュ)の細かい心の動きに胸が締め付けられる思いで観ることが出来た。
前回、主人公は三人で、どちらかと言うとジファン(チャテヒョン)が中心のお話しだと思い込んでいたんだけど、実はこの映画、ギョンヒが主役なんだなぁ。

大学へ通うジファンが、アルバイトしている喫茶店にスイン(ソンイエジン)とギョンヒがお客としてやって来る。その時、たまたまカメラを覗いていたジファンは、ファインダーの中に美しいスインの姿を捉え、一目惚れしてしまう。
ジファンは、お茶を飲んで店を出た二人を追いかけて猛烈アタック! しかし、はかなくスインに振られてしまう。そんな二人にジファンは「時計の針を戻して、友達として接して欲しい」と懇願する。 そして、三人は仲良く遊ぶ関係になっていく...。

遊ぶときはいつも三人。
やがて、ジファンはいつも明るく笑うギョンヒに惹かれ始めている自分に気が付く。そしてギョンヒもスインを差し置いて、ジファンを好きになっていく自分の心をどうしようもない。
そして、スインが風邪をこじらして入院。その後、ほんの些細な行き違いから、三人は心がスレ違ってしまう。
あの夢のような日々は、文字通り夢だったのだろうか? 楽しい蜜月時代は終わりを告げ、季節は秋から冬へと移って行ってしまう。

そして雪が積もったある晩、ジファンはギョンヒから呼び出されて屋台で一緒に飲む。しかし、久し振りに会う二人はぎこちなく会話も噛み合わない。手に包帯を巻いたギョンヒはすぐに席を立ってしまう...。
その晩、ジファンはしたたかに飲み、路上で酔いつぶれてしまう。翌朝、目覚めたジファンは見知らぬ布団の上で眠っていたのに気が付く。

そう。
ボクは最初にこの映画をDVDで観たとき「この映画はチャテヒョンとソンイェジンの映画だ」という先入観を強く持ちすぎていた。だから、ちっともこのお話しの「良さ」が理解出来ていなかったんだ。
確かにイウンジュの演技の素晴らしさもわかったつもりだったけれど、もし最初から彼女に感情移入して観ていたら、涙ぼろぼろの催涙ムーヴィーになっていたかもしれない。明るさと暗さ、笑顔と涙、なかなか上手い女優さんだ。
チャテヒョンも今までは底抜けに明るい役ばかりだったけれど、今回のように無精ひげでどこか影のある芝居も出来るんだんぁ。ちょっと見直しましたょ。

ただ、出すあてもない手紙をしたため、しかも切手まで貼りながら行李一杯に溜め込むのはどうしたもんでしょうね。
ストーカーそのままの愛のキューピット(郵便配達のお兄ちゃん、この人も「初恋死守〜」に出てますよね)がいたから良かったようなものの...。

結局、ボクは前回はこの映画を表面すら理解できていなかったんだ。ギョンヒの鼻から流れる血の意味さえもわかっていなかったからだ。
そうか、そうだったのか...。何とも哀しいけれど美しい話し。

ジファンの妹役でムングニョンちゃんも好演。彼女に慕われる貸し本屋の店番で後に軍隊へ行く青年をキムナムジン(「春の日の熊は好きですか?」で主演しているそうです)が演じています。また、バスの車内のワンカットながらボクが好きなイムンシクがチラッと顔を出してくれています(お見逃し無く!)。

もう少し、シネ・リーブル梅田で上映しているはずです。
心を衝かれる純愛もの。泣けるか、泣けないかはあなた次第だとは思いますが、観逃すと後悔すること必至。もちろん、オススメの作品です。

おしまい。