マッハ!!!!!!!!

生身のアクション、テンコ盛り


  

今回はタイの映画。このところ、少ないながらも何作か公開されていますね。
一応、アジアからやって来た映画は観逃さないように目を光らせているつもりなんだけど、このところ集中力が切れているのか、ついつい逃してしまう。「ワン・テイク・オンリー」もそうだ、しかもタイの映画だったのに! どこかで再映してくれないかなぁ...(期待薄だけど)。

この「マッハ!!!!!!!!」(なんと“!”が8つもある!)予告編が繰り返し流されていたし、うわさではTVでもCMをしていたらしい。なかなか力が入っているやんか!
その割には動物園前はいつものシネフェスタやったけどなぁ。

ストーリーそのものは、なんか昔の任侠ものを観ているような感じ。純真な青年が事件に巻き込まれ、やむにやまれず仕方なしに暴力に訴えて解決する、って感じですね。
すなわち、お話しはあんまりたいしたことなくて、それよりも何よりもアクション・シーンが凄いし、テンコ盛り!

主人公が暮らす田舎の寺から仏像の首オンバクが盗まれた。犯人はこの村出身でバンコクに住むゴロツキ、ドンだとわかっている。
寺の住職からムエタイの奥義を授けられてるティントは、盗まれた仏像の頭を取り返すためにバンコクへ向かった...。ただし、住職からはムエタイの技を人前で晒すことは固く禁じられている。
ドンから簡単にオンバクを取り戻せると思っていたティントだが、なかなか上手く行かない。おまけにバンコクで訪ねた村出身のおっさん(南伸坊にどことなく似てる)は、心が荒み、お金に執着するけちなオヤジに成り下がっていた。村人から託されたお金をまんまとおっさんに奪われたティントは、それを取り戻すために私設の拳闘場で、その夜のチャンピオンをKOしてしまう!

ありゃ、ストーリーはいまいちとか言いながら、随分書いてしまった。
とにかく、盗まれた仏像オンバクを取り戻すために、次から次へと闘いを続ける羽目になったティント。これがもう、予告通り。生身の人間が行うアクションの限界にまで挑戦している。こりゃ、怪我が絶えなかったのも頷けるょ。
ワイヤーもスタントもCGも何もかも使わない。小細工は一切無し!
日頃、想像を絶するようなアクションシーンを目の当たりにしているだけに、却ってこの生身のアクションが新鮮(まぁ、少々ヌルく見えんこともないけど...)。ちょっと言葉では表現できないね。
失敗が許されない、ほとんど限界に近いぶっつけ本番のシーンが多かったせいか、同じシーンを違うカメラで撮った絵を繰り返し見せられるのはちょっとね。でも、凄いことには変わりない。
三輪車のようなド派手なタクシーでのカーチェイスは、いかにもアジアチックで良かったなぁ。いつゾウさんが出てくるのか、ちびっと心配してました(結局、出てこないけど)。

これでもか、これでもかというサービス精神旺盛なアクションの連続には、目を見張る。また、観客に媚びたようなところがないのにも好感を持ちました。う〜ん、凄い映画だ。

眉毛が濃いヒロインが出てくるけど、彼女の存在はちょっと消化不良かな。特に彼女の姉は一体何だったの? ちらっと出て来て、次には突然死んでしまうなんて。
相棒役になるおっさんはいかにもバンコクにいそうな調子のええおっさんや。この役者さんはいい味出してます。

トニー・ジャーは今後どうなるんでしょう?
アクションだけなら間違いなく一流。でも、他の部分は「???」 もう少し垢抜けしてたらええんやけどね。
次にスクリーンで会うときには広東語しゃべってたりして...、そんな気がします。

是非、大きいスクリーンで口をあんぐり空けながらご覧いただきたいですね。でも、まだ上映してるかな?
シネフェスタでは奥の一番大きなスクリーンを使っていたけど、10名もいなかった。ほんまに淋しいもんです。

この映画の冒頭。
村の若者が大きな木の下に集まり。合図を受けて一斉にその木に登り始める。木のてっぺんに揚げられている白い旗を手にした者こそ、村一番の栄誉が与えられるのだ。
この木登りのシーンがなかなか良く出来ている。先に登っている者の足首をむんずと掴んで引きずり落とす。掴まれた者はたまらず、木の上から地面に落ちる。それがハンパじゃない(怪我するで)。
このアタマの部分だけで、すっかり「マッハ!!!!!!!!」の世界に溶け込めてしまうんだから、上手いね。

次回は、久々に観る香港映画、レオンライとイーキンの「ヒロイック・デュオ−英雄捜査線−」です。

おしまい。