霊/dear frends

キムハヌルの引き出し


  

水原からソウルへ戻る電車の中では“爆睡”。ビールが入っていたせいもあるし、暑くて疲れていたのもある。また珍しく睡眠不足もあったと思う。きっと口も開いていたんだろうな、恥ずかしい。
大学路で友人と待ち合わせをしていた。近くにあるお店で、夕食に韓定食を食べる予定になっていたけど、残念ながらボクはダウン(今回のソウルはダウンしてばっかりだ!)。シナチンのお友達イナバさん(仮名)とは、ご挨拶だけさせてもらって、ボクは一人でホテルに戻った。
部屋で冷たいシャワーを浴びる。「フ〜!」生き返った!!

ここで横になると、そのまま朝まで寝てしまいそうなので、それは我慢。冷たい水を飲んで、着替えてから再び街へ繰り出す。
9時に新村でビデオを受け取らないといけないから、2号線に乗って新村の一つ西「弘大入口」まで。このあたりは学生街、芸術系学部が強いと言われている弘益大学のそばだけあって、アーティスティックな雰囲気が漂っている(ほんまか?)。確かに新村のような猥雑な雰囲気とは違う。
大学の近くにある公園で、夕方からフリーマーケットが開かれているという話しを小耳に挟んでいたので行ってみた。場所はうろ覚えだし、地図も持っていないけれど...。でも、そんな心配は全然いらない。
地下鉄の駅を降りて地上に出たら、そこは何故か、いきなり香港・旺角の雑踏。
しかもみんな若くて小奇麗(旺角に較べたら)。そんな人たちに囲いまれて、自然に押し出されるように流れていけば、10分ちょっとで大学の正門前の交差点に出て、その右側が例の公園。
確かにいろんなお店が思い思いのスタイルで出ていました。そのほとんどは学生が開いているようだけど、中には「なんで?」と思うようなおばさんが...。 まぁ、話しのネタにはいいかもしれないけれど、わざわざ出掛けて行く価値はあるかな?

そして、翌日はMEGABOXでの三連戦。映画を観た後は、千戸(チョンノ)で別の友人夫婦と夕食の予定。現地集合。
千戸って行ったこともなかったけれど、現代百貨店もEマートもあって、想像以上に大きい繁華街だった。その一角は古い街を取り壊しての再開発の真っ只中。それが終わればもっと垢抜けた街になっているでしょう。
だけど、新しいビルだけが建ち並ぶ街は面白くないし、味気ない。入り組んだ路地に、壊れそうな韓屋も残しておいてもらいたいものです。韓屋の門を開ければ、土間が広がっていて、そこに並べられたドラム缶を再利用した七輪で、ソジュを飲みながら焼き物をつつく、そんなお店が好きだなぁ。冬はとんでもなく寒く、夏は汗びっしょりになるけどね。

さて、ようやく今回のソウルで拝見した最後の映画「霊・リョン」のお話し。 このタイトル、後で教えてもらったんだけど、発音も文字も「リング」にかけてあるそうです、それは全く気が付かなかったなぁ。
最初、キムハヌルがホラーって聞いたときには「まさか!」と思ったけれど、これが意外と合っている。時折見せる彼女の唇を歪めた冷たい顔は、まさしくホラー向き(この映画のポスター、きっとあれはキムハヌルなんだと思うけれど、それがどう見ても彼女には見えない。違う人なのかなぁ?)。
この人、ボクが思っていたよりもたくさん引出しを持っているのかもしれない。でも、ボクは「リメンバー・ミー」のキムハヌルが一番好きだけどね。
まぁ、いろいろ異論はあるでしょうが...。

さらっとストーリーを紹介すると...。 大学に通っているミン・ジウォン(キムハヌル)は、教室から見た中庭で自分を撮っているカメラマンの姿を見つける。そのときは、そんなに気にならなかった彼女だが...。
実は、ジウォンは自分の過去をなくしていた。そして、高校時代の友人と名乗る少女が話しかけてきたことによって、ジウォンは少しずつ自分の過去を思い出していく...。

これがなかなかの恐さを持っている。
毎夜うなされる悪い夢を見る。広い屋敷にはジウォンと母親しかいない。延々と口から水を吐き続ける母親。ベッドの中でふと隣を見ると、もう一人の自分がそこにいる...。
こういうホラーものは、あんまり語学力に影響を受けないから助かる。

水は普段の生活でもすぐ隣にあるもいのだけど、こうして見せられると結構恐ろしいもの。そして、一本や二本の髪の毛には何も感じないのに、それがまとまって束になると...、そりゃゾクゾクっと背筋が凍る。

ただ、冷静な気分でこの映画を観るとすれば、なんだか物足りなさが残るのも確か。
全てがキムハヌルの独壇場。そしてそれ以外には魅力がほとんど無い。過去の友人たちや、それに今の彼氏は影が薄すぎるョ。
それにストーリーもあるようでないような...。まぁ、恐がらせるのを第一の目的にしているホラー作品だからこんなものかもしれませんね。

いつか日本で上映されるかもしれません。今年の夏は間に合わないから、来年の夏かな。キムハヌルのファンや興味のある方はどうぞ。
しかし、ホラーやコメディなどの、スクリーンと観客が一体になって楽しむ作品は、ほんとソウルや香港で観るのに限ります。恐さも、オモシロさも倍増ですわ。

これでソウルで拝見してきた映画の報告はひとまずおしまい。DVDやビデオを何本か買ったきたので、折をみてそれらを“番外”で紹介していきます。
次回はポッター・シリーズの最新作。「アズガバンの囚人」の予定です。

おしまい。