ヴァンダの部屋

ひどく不毛で憂鬱


  

台風がやって来て、あっと言う間に去って行った。
普通、台風は秋に来るもので、それもたいていは真夜中に関西を通っていくものだと思っていた。なのに、この6月は二個も台風が接近・上陸し、今回は真昼間に明石に上陸した。どうも、この台風も異常気象の一つのような気がする。この地球ももう長くないのかなぁ?
ボクには直接の被害は無かったけれど、この日に移動を予定していた人は大変だったに違いない。ご苦労様です。

今回の映画はポルトガルからやって来た長尺(180分)の作品「ヴァンダの部屋」。
この日が最終日で、最終回だった。思ったよりもお客さんが入っていて30名ほどかな(そう言えば、最近どの映画もお客さんが多くなったような気がする。これはとってもいいことだ!)。だからヌーヴォで二回続けて、いつものボクの指定席に座れなかった。まぁ、それも仕方ない。

正直に言います。
この映画が始まって30分過ぎたあたりから「もう帰ろうか」と思った。
そして、何度も何度も時計を見てしまった。ひどく退屈で、なおかつあまり愉快ではない映画。
確かに、スクリーンに映し出される映像は、憂鬱ながらも美しい。でも、それだけを3時間続けて拝見するには、かなりの忍耐が必要だ。

果てしなく不毛な行為や会話が、延々と繰り返される。
このヴァンダは何を考えているのか? 
そんな素朴な疑問も、途中からどうでもよくなってくる。

ヴァンダが住む地域はポルトガルのリスボン。
この街でもアフリカからの移民が多く暮らすスラム街が舞台になっているそうだ。このスラム街は再開発が進み、薄暗い路地が張り巡らされているこの街に壁を崩すハンマーの槌音やブルドーザーのエンジン音が響き、どんどん建物が倒されていく。なんとなく、香港にあったかつての九龍城を思い出した。
ヴァンダはこの街の奥深くに暮らしている。家は通りに面して八百屋を営んでいる。その一角にあるのが、窓も無く日も差し込まない彼女の部屋。激しく咳き込みながら薬物を摂取している。ただひたすらに刺激を求めている。そして、彼女も自分の部屋が取り壊されるまで、こうしてひたすら薬物を吸い続ける。つまり、彼女は正真正銘のジャンキーなわけだ。

こんな退廃的な画像が、執拗に繰り返され映し出される。
この映画を撮った意図は何なんだろう。ドキュメンタリーなのか、フィクションなのか。それともそんな枠を遥かに超越したものなのだろうか? 残念ながらボクにはさっぱり理解出来なかった。

あぁ、お疲れ様でした。ほんとに疲れ果てました。
映画が終わって、ホッとするのは久し振りの経験やなぁ...。

ヌーヴォでの上映は終了してしまいました。
興味がある方がご覧になるのを止めはしませんが、少しでも迷いがある方はやめた方がいいです。時間の無駄です。きっと、ビデオ化やDVD化されるでしょうけどね。
この映画のweb-siteを拝見すると、能力のある監督さんがお撮りになったようです。次回はもう少し意図のあるお話しにしてください。お願いします。

おしまい。