ミッシング

ドットがかわいい


  

この週は土曜に友人の結婚披露宴。一日早く休暇を取って東京へ出てきた。
伊丹の空港でまずつまずいた。ボクが予約した便は、なんと関空発の便だった。今まで、何十回とwebで予約してきたけど、こんなミスをしたのは初めて 。あかんなぁ、情けない!
あわてて人がいるカウンターに申し出て、事なきを得た。NHのカウンターのお嬢さん、お手数をおかけしました、そしてありがとうございました。

まずお邪魔したのは日比谷スカラ座。始めて行くスクリーン。
何が驚いたって、その豪華さと設備のよさ。シートや床が綺麗なのは当然として、傾斜の具合などもとてもいい。今までお邪魔した映画館の中で、間違いなくトップ5に入る。
拝見するのは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで、ちょっと冴えないエルフのお嬢様を演じていたケイト・ブランシェットが主演の西部劇(西部劇と言い切ってしまっていいんか、って気もします)「ミッシング」。
エルフのお嬢様より、この開拓時代の逞しい治療士(女医?)マギーの方が、断然似合ってる。いいねぇ。それに初めてこの人のウェストが恐ろしく細いことを知りました。このところ何べんも予告編を見せ付けられている彼女の次回作「ヴェロニカ・ゲラン」も楽しみですね。

しかし、惜しいなぁ。
もちろん、ご都合主義もある。そんなことはわかっているし、許すんだけど、ストーリーが平板でヤマがない。作る側も、演じる側も、そして観る側も一気に盛り上がって、気分が高揚するようなそんなごっついヤマがこの映画にはない。それが惜しい。
もちろん、最大のヤマ場はインディアンたちの手からさらわれた娘を取り戻すシーンに決まっている。だけど、そこに感動はない。もったいないなぁ!

テーマは大きく分けて二つ。
母と自分を捨てた父親ジョーンズと娘マギーとの邂逅。そして、娘をさらったインディアンとの追跡劇。その心理的テーマとアクションテーマの二本立てだったはずだ。
だけど、結局“二兎追うものは一兎も得ず”なのか。

一緒に旅をする末の娘、そのドットに履かせる靴やまじないのペンダント...。使える小道具は幾らでもあった筈なのに、ちっとも生かされていない。
自分のピンチを、無私無欲で助けてくれるから、今までのことを水に流したの? それとも、占い師に言われてのこのこ姿をあらわした父親に哀れみを感じたの? もっと別の理由があったのかもしれない。
それにこの年老いた父親は、どうして家族を捨てインディアンとして生きることを選択したのか? それが観ているこちらにはさっぱり伝わって来なかったょ(ひょっとして、単なる気まぐれだったの?)。
いずれにせよ、この映画の心理的な側面は少なくと成功しているとは思えない。

では、アクションの面はどうなの?
これもなぁ、なんだか歯切れが悪いょ。こちらの方もキラ星のごとく見せ場は転がっているのに、それぞれが小さい山としてあるだけで、最後のクライマックスに向かって仕掛けられているとは到底思えない。いやぁ、これは本当にもったいないぞ。
まぁ、年老いたジョーンズのそれこそ動物のような勘と動きは脱帽ものだし、インディアンのリーダーの呪術には何とも身の毛のよだつような不気味さを感じる(もちろん、あの顔にもね)。

主人公たちの味方になる、いわゆる「いいインディアン」も出てくるけれど、ここまでインディアンを粗野で乱暴な悪者として描き切っていいの? そのへんをこっちが心配してしまうほどの色分け。

とにかく、本当に間一髪のタイミングでアパッチ族の手から、リリーと他の娘たちを救い出す。そして、追っ手を巧みな手綱さばきでかわし、逆に迎え撃ってしまう。
あぁ、ストーリーがいいだけに、ほんまに惜しいなぁ。

かなりの迫力に、ニューメキシコの広大な大地。もしご覧になられるのなら、テレビではなく巨大なスクリーンで、是非! 
画像的にはたいしたことないけど、心理的に結構えぐいシーンもありますので、それはご承知置きくださいね。
この作品って、関西での上映はあったんんかなぁ? ちょっと謎。

それにしても、日比谷と有楽町と銀座ってどこにその境界線があるんや? 誰か教えて!

おしまい。