「彼女を信じないでください/Too Beautiful To Lie Don't Believe in Her」

誰もボクを信じてくれない!


  

深窓の令嬢という趣から脱皮して、今やはじけているキムハヌル主演のコメディ映画。
この映画の成功というか好感度を上げているのは、ソウルに住む時代の先端を駆ける若者や大学生が出てくるのではなく、地方のどこにでもいそうな普通の家庭の人々が、映画の脇をぐっと締めていることではないでしょうか。そう思わせるほど、ほとんどの登場人物たちに親近感を持ってしまう(一部を除いて、皆いい人ばっかり!)。

口先だけの詐欺で世の中を渡っていたヨンジュ(キムハヌル)、今は囚われて監獄の中で暮らしている。そんな彼女に仮出獄審査のチャンスが巡ってきた。ベテラン調査官4人を前にして、でっち上げた身の上話を感情たっぷりに語りはじめると、調査官のハンカチは涙でぐっしょり...。そして、ヨンジュはめでたく仮出獄。
ソウルへ向かう彼女とたまたま同じ列車のボックスに乗り合わせたのがヒチョル(カンドンウォン、SMAPの中居正広をちょっと気を弱くしたような感じ)。彼は恋人にプロポーズするためにダイヤの指輪を持っていたのだが...。どたばたがあって、ヨンジュはその指輪を手に駅に取り残され、そして汽車は彼女の荷物とヒチョルを乗せたままソウルへ...。
別にだますつもりがあったわけではないけれど、ヨンジュは指輪を返すためにヒチョルの家に向かう。ところが、指輪を持った女性が現れたものだから、ヒチョルの家で彼女は婚約者だと勘違いされた上に、おまけに口からでまかせで妊娠中ということにしてしまう。
恋人へのプロポーズに失敗し、オマケに指輪もなくしてしまい意気消沈して家路につくヒチョル。帰ってきてびっくり! なんとあの女が、指輪を持っているだけではなく、自分の婚約者になりすましている。それどころか、家中、いや町じゅうの人たちから白い眼で見られているような...(薬を買いに来た親子連れのお客さんがケッサク!)。

誰も、ボクのことを信じてくれない!!

とまぁ、そんなどたばたがありまして、唐辛子の収穫祭を兼ねたノド自慢大会(?)などのイベントを経て、ヨンジュとヒチョルは急速に接近していくのだが...。

同じコメディでも、この映画を上質のコメディだと感じさせるのはキムハヌルのキャラクターに負うところも大きいけれど、冒頭にも書いたけれど、田舎の普通の人を出すことによって、若者だけでなく様々な年齢層に受け入れられたことが大きい。さらにはストーリー運びが上品で、悪いお話しではないのも大きい(と思う)。
正直に言うと、あまり期待していなかった。だけど、拾い物だった。
おおむね理解できたつもりだけれど、いかんせんキムハヌルは話術で人を引き付けて騙す“詐欺師”だけに、その話術がほとんど理解出来なかったのはちょっともったいなかったと思います。もっと勉強しないとあかんね。

それにしても、キムハヌルはこれからどうなっていくんでしょう? 楽しみなようで、ちょっと心配です。

この作品、そう遠くない未来に日本でも上映されるチャンスが巡って来るような気がします。まずまずのおすすめです。

おしまい。