「私の小さな楽園」

空が青いよ


  

我がサンフレがJ1に復帰して2試合目。ガンバと万博で対戦。去年は万博で試合が出来なかったのでここに来るのも久しぶり。朝は曇天だったのに、ガーデンで映画を観終えて出てきたら、強い風と大粒の雨。一向にやむ気配が無いまま散髪をして、茨木へ。このころになってようやく雨が上がった。
寒かった。サッカーの試合を観るのは寒いのに決まっているのに、寒かった。ゲームはホットだったのになぁ。
この日のサンフレを見る限り、1年のブランクは感じなかった、これでもう少し戦術がこなれてきたら充分闘える。でも、その頃には他のクラブの調子を上げているはずだけどね。

冷え切って冷たくなった身体のまま十三へ。久しぶりのナナゲイで二本続けて観る予定。
どんな映画なのか予告編も観ていないし、前情報も仕入れていない。でも、ブラジルの映画だというだけで「観てみよう」と思った。
しかしいくらマナーナ作品とは言え、土曜の夕方でお客さんが両手にも満たないとはちょっと淋しすぎる。大丈夫かナナゲイ!

先日観た「ヴァイブレータ」、この「私の小さな楽園」、そして次に紹介予定の「ひめごと」。いずれも強烈な個性を持った女性が主人公。でも、共通しているのは主人公が女性であるだけで、その生き様はまるで違う。これは女性だからではないのかもしれないけれど、人はその置かれている環境によってこうも変わるものなのか。
孤独な都会に住む人間と、自然に深く囲まれたブラジルの奥地に住む人間では違ってもそれは“当然”なのかもしれないけれど。

主人公のダルレーニと同じ家に住む三人の男性の物語り。
このダルレーニ、決して美人でもないけれど、どっしりと大地に根を下ろしたような体格が印象的。物事は何も深く考えない。どちらかと言うと本能のおもむくままに生きている。まぁ、何とも羨ましい限りだけど、水道やガスはおろか電気さえ通じていない僻地での生活は厳しいし、僅かな現金収入を得るために過酷なサトウキビの収穫に従事している。家事だって子育てだってしなくてはいけない。

彼女が、まだ幼い子供を連れて帰郷してきた日に母親が死んだ。その葬儀の最中に、ここに住む初老の小金持ちオジアスから求婚され、そのまま結婚してしまう。
このおっさん、威張るだけでちっとも働かない。日永一日ハンモックに寝そべってラジオを聴いている。まぁ、何とも羨ましい能天気なおっさん。
そのオジアスの妹の旦那ゼジーニョがこの家に転がり込んできた。奥さんから追い出されたみたい。このオヤジ、若いダルレーニに興味がある、器用なゼジーニョは彼女に代わって家事をし、ダルレーニのために弁当を農場まで届ける。
農場に流れ者の若い衆シロがやって来た。ひょんなことから彼もこの家で寝起きすることになった。

心穏やかには暮らせないはずの三人の男だけど、これが不思議と楽しい奇妙な生活。一応順位は付けられている。
頑固で威張っているだけだけど、この家の主オジアスがいて、彼こそがダルレーニの亭主。そして、器用さと優しさだけが取り柄で気に小さなゼジーニョは、だんだん立場が無くなる。そして、いつでも出て行くと思いながら何故か居座ってしまう若い男シロ。
実は、それぞれがダルレーニの掌の中で上手く転がされているだけなんだ。
何も操縦してやろうなんて考えているわけではない。彼女の天真爛漫さ、思うが侭の行動に周りが振り回されながらも、温かい精一杯の包容力で、それこそ“小さな楽園”を運営している。

都会で生活していると、どうも人間が小さくなって世知辛くなってしまう。今のボクに欠けているのは、思いやりと包容力かもしれないなぁ、そんなことを思わされました。

何しろ、色が凄いよ。
どこまでもどこまでも青い空。突き抜けるような太陽の光。吹く風までに色がついているような気がした。ウン、一度ブラジルの奥地にも一週間ばかり行ってみたいな。
もう少し(3/26まで)十三の第七藝術劇場で上映しています。ダルレーニに元気を貰いたい人、是非観てください!

おしまい。