「幸せになるためのイタリア語講座」

温かい掌品


  

悪い人が出てこない温かい映画。
ボクもイタリア語を習ってみようかな(中国語も挫折したのに...)。
デンマークってもちろん行ったことは無いけれど、一度行ってみようか、そんな気にもなる。誰か連れて行ってくれないかなぁ。連れて行ってくれるわけないか...。

最初はわけがわからない。謎が謎を呼ぶうちに、だんだん人間関係の輪郭が見えてくる、これはなかなか巧い。最初にイタリア語講座の教室から始まらないところがイイ。
まぁ、難をつけるとしたら、一体誰が主人公なのか、ちょっと散漫としすぎているかもしれないけどね。

舞台はコペンハーゲン近郊。この街に代理の牧師がやって来るところから始まる。この牧師さんはまだ新米で、日々の説教も上手くできない。それどころか、前任の牧師が牧師舘にまだ留まっていて、彼に嫌がらせをする、まぁ何ともかわいそうな境遇だ。彼は、教会の手伝いをしてくれている女性に、街のホテルに部屋を取って貰う。
そのホテルのフロントの男性、フロントの親友で近くにあるスタジアムのレストランの支配人、このレストランで働くイタリア人女性。そしてまた紹介して貰ったヘアサロンの女店主。そして何の関係もないように見えるパン屋で働く不器用な女。
ここで登場する人たちは、どこか人生が上手く行っていない、悩みを抱えていたり、どこかスネに傷を持っているような。
その表現の仕方がどれもこれも上手いなぁ。確かに暗くなりがちなエピソードなんだけど、何故かさらりとしている。抜けるような青空が広がっているわけではなく、冬のどんよりとした曇天なのに、どこか人間の温かさを身近に感じられる(ような気がした)。

この映画を観て、何かを得るとか、勇気づけられることはあんまりないかもしれない。でも、なんかちょっとホッとする、ぼんやりと温かくなる。そんな掌品。

それにしても、外国人の女性の年齢ってどうもわからんなぁ。
それと、不器用なオリンピア、彼女不器用なのも確かだけど、きっと目が悪いんだと思うな。メガネをかけて彼女の世界が変わるっていうエピソードが最後にちょっと欲しかった。

ところで、ボクの友人にイタリア語が達者な方がいらしゃる。この人も長くイタリア語教室へ行っていたようだけど、その教室は「幸せになるための講座」ではなかったようですね...?

次回はブラジルの映画「私の小さな楽園」を紹介します。

おしまい。