「龍城恋歌」

アウトローの恋の行方は


  

このところ映画を観るペースががっくり落ち込んでいる。
ぼやぼやしているうちに上映終了してしまっていることも珍しくなくなって、反省しきり。観たい映画は少々ムリをしても初日に行かないとあかん。
週末は、一日は映画でもう一日を山あるきに充てようと思うんだけど、このところの寒さに負けて、山あるきではなく、家の近くの散歩になってしまう(何故か仁川方面に足が向いてしまう)。あかんなぁ。一月はとうとう元旦に歩いただけだった(情けない!)。

さて、今回ご紹介するのは「龍城恋歌・りゅうじょうれんか」。96年に撮られた大陸の作品。
この映画の凄いところは、主演のウーチェンリェンの美しさと特異とも言えるストーリー。
この女優さんには今回はじめてお目に掛かったけれど、何とも言えない美しさを持っている。素晴らしい!

清の時代の終わり頃だろうか、中国のとある街が舞台。
この日は婚礼が行われる。花嫁を送り出すこの旧家では、その準備でおおわらわ。そこへ花嫁を迎えるために婚礼の隊列が到着したが...。
まるで、訳がわからないうちに、一気に強引に話しが展開されていく。

そして、数年が流れる。
自分の婚礼の日に、一家は虐殺され花嫁になるはずだったチャンランチュェン(ウーチェンリェン)は復讐の鬼となっていた。一家虐殺の指令を出したシオンが居を構える街・龍城(この字幕がドラゴンタウンとなっていたのには苦笑するしかなかった)近郊に現れた。
ここで凄腕の殺し屋リーを待っている。彼にシオンの殺害を依頼するためだ。しかし、リーにその依頼を断られてしまう。リーはランチュェンに龍城の商家を訪ねるように指示を出す。そこで待てというのだ。

冬。もう数日で正月を迎える。赤々と燃やされる火鉢が印象的。

ランチュェンの復讐は成功するのか。
リーは何を考え、何をしようとしているのか。

巧みな話術にはまり、ボクはすっかり龍城の住民になってしまう。
あんなに小さなカバンひとつをぶら下げてきたのに、ランチュェンはなんとたくさんの衣装を持っているのか(まぁ、これはご愛嬌)。

いつの間にかランチュェンとリーはお互いを愛し合ってしまう。これが愛と呼べるのなら...。
丁寧に描かれる物語りは、ラストに向かって二転三転し、心は揺れ動く。

ありゃりゃ、って箇所もあるけれど(特に最後には...)、ウーチェンリェンの美しさとユウヨン(リー)の垢抜けない男気に免じて、目をつむりましょう。
正直言って、今をときめくチャンイーモウの名前が制作総指揮でクレジットされていなかったら、日本で公開されることもなかったと思う。
でも、意外と良かった。ご覧になっても損のない作品だと思います。なんともう既にビデオも出ているそうです。

大阪での公開初日に動物園前のシネフェスタで拝見しました。
チケットを買うときに係りの女性に「混んでますか?」と伺ったら、言葉ではなく首を左右に振った答えが返ってきたのが印象的でしたね。もうちょっとお客さんが入ってもいい作品なのにな、って思いが伝わって来ましたよ。

おしまい。