「オールド・ボーイ/Old Boy」

15年間餃子を食べ続ける


  

翌朝出掛けていったのは、COEXにある巨大なシネコン「Mega Box」。ここには何度か来ているので、もう迷うことはない。駅の改札から遠いのが玉に瑕だけど、COEXそのものが巨大な施設だけにそれは仕方ないか。
事前に上映時間は調べてあったにも関わらず、ホテルを出るのが遅れてしまい、予定していた回には間に合わなかった。あかんなぁ。

まず、一本目はチェミンシク主演の「オールド・ボーイ」。
日本のコミックが原作(土屋ガロンという人らしい)だそうですが、あんまりマンガを読まないボクはこのコミックの存在を知らない。
今まで何本か字幕ナシで韓国の作品を観てきたけれど、この「オールド・ボーイ」ほど訳がわからない映画は初めてだ。それは、演出や俳優が悪い訳ではなく、それほど、常識とはかけ離れたストーリーが映画の中で展開されている。

良くわからないままに、オデス(チェミンシク)は囚われの身になる。そこは刑務所ではないようだ。窓はないが、ベッドがあり、シャワーとトイレがあり、テレビまである。そして、ドアの下に口が開いていて、そこから毎食毎食がトレイに入れられて与えられている。
憤り、憤慨するオデスだが、何もするすべがない。食事を運んでくる男の足にすがりつくが、にべもない。そして面白いこと(?)に、この食事が毎食、判で押したように「揚げ餃子」なのだ。

ヒマを持て余すオデスは、部屋の中で運動をし、熱心に日記を綴る。
自分が軟禁されている理由をオデスがわかっていたのか、わかっていなかったのか。それがボクにはわからない。
オデスという、情けない中年のおっさんが、ある日忽然と姿を消してしまっても、社会に何も影響を与えないし、誰も騒がない。それだけのことだ。彼はそれだけのおっさんだったわけだ。

ある日、ベッドをどけて壁に穴を開け始める。壁紙を剥がし、レンガを取り除く。すると、手が外に出た。外は雨が降っている。チェミンシクが差し出した掌に、雨粒が当たる。その時の彼の顔は良かった。

ところが、何かの拍子にオデスは、荷物を一つと携帯電話を持たされ、街に放り出されてしまう。街を彷徨っている途中、携帯が鳴り指示が出される。ホームレスの男から声を掛けられ、大金を受け取る。
ふと入った刺身屋で、酒を飲みそのまま行き倒れてしまう。そんなオデスを介抱してくれたのが、刺身屋の板前(包丁捌きが凄いょ!)カンヘジョン(なかなかかわいい)。
いつの間にか、この二人でオデスの謎を探りはじめる...。

何しろ、よくわからない。
オデスがどうして監禁されたのか、その場所は一体何だったのか、あの催眠ガスは?
ユジテは?

最も面白かったのは、オデスが監禁されていた場所を特定するために、街中の中華料理屋へ行き、次々と餃子を食べることだ。これには笑うしかない。毎日毎食食べ続けたあの餃子の味を忘れるわけがない。
執念のように餃子を食べ続け、ついに中華料理屋を特定して、自分が囚われていたビルを見つける。
その後のこのビルのボスとの闘いは、なんかマンガチックでボクはフルーツ・チャンの「ハリウッド★ホンコン」の腕を思い出してしまいました。

とにかく、よくわからない。
謎のユジテとチェミンシクとの絡みも、なんだかもう一つ。
この二人が出演していて、韓国でも大ヒットしただけに、そう遠くない日に日本で字幕付きで上映されるでしょう。その時に期待します。

帰ってから調べたところ、どうやら犯人(ユジテ)と目撃者(チェミンシク)との間柄だったらしいですけどね。しかも、チェミンシクはなんと15年も監禁されていて、毎日餃子を喰っていたらしい(おそろしい!)。

次は続けてMega Boxで観た「東海の水と白頭山」をご紹介します。

おしまい。