「ぼくの好きな先生」

流れるように淡々と


  

確かテアトル梅田で上映されていた。それがここ銀座テアトルシネマではまだロングで公開中(もっともこの週が最終週だったけどね)。この日は茅場町に宿を取っていたので歩いて出かけました、およそ30分かかりました。東京のど真ん中とは言え、さすがに日曜の朝は人もクルマも少ないね。

硬派のドキュメンタリー。フランス中西部の山の中にある10数名しか生徒がいない学校が舞台。
4歳児から12歳までの子供を預かっているこの学校の先生はたった一人。幼児、中学年、高学年の三つのグループに分けて授業を切り盛りしていく姿には驚かされます。
この先生ももうすぐ25年を過ごしたこの学校から「卒業」する。

特に何か大きな出来ごとが起こるわけではない。文字の書き方を教える傍らで、思春期に入った子供の悩み事を聞いてやり、喧嘩の仲裁をする。そんな先生の姿は「奮闘」というようなものではなく、流れるように淡々と力まずに、自然に動いている。辛抱強く、あきらめずに、粘り強く子供たちに接する。
たまには何もかも放り出したい時や怒鳴りつけたい時もあるだろう。それとも自信が揺らぐこともあるだろう。

決して感傷的にならず、カメラも淡々と流れる。
真冬から始まり、春が来て、そしてもうすぐ夏休み。フランスでは卒業の季節だ。この学校からも三名が巣立つ。一方、9月から入ってくる予定の子供たちが教室に見学にやって来る。

そして、この先生の一年が終わる。

盛り上がりに欠けるのは確かだ。でも、先生の姿や、様々な個性を見せる子供たちの顔を見ているだけで、こちらの心がほぐされるのも確か。このところちびっと忙しくてすさんでいたボクの心も癒されました(その割には、何度も何度も気を失いかけたけどね...)。

まぁ、チャンスがあればご覧になっても損は無い作品だと思います。
上品な雰囲気が特徴の銀座テアトルシネマですが、この日はあんまり上品ではなかったような気がします。まぁ、映画の性格上それも仕方ないかな。お上品な奥様方と言うよりも、いかにも「学校で教員してます」って雰囲気プンプンの方がほとんどでした。

おしまい。