「太陽はない」 |
青春は袋小路 |
日本で未公開の韓国映画が上映されるチャンスはそう多くない。その数少くないチャンスで、しかもボクの守備範囲内で開催される「シネマ・コリア」。去年は別の用事で参加できなかったけど、今年初めて行って来ました。名古屋へ。
一本目は「太陽はない」。
イジョンジェは街のチンピラ。いや、チンピラ以下。いつもカネがなく、借金取りに追われている。珍しくカネが入ると、競馬につぎ込んでスカンピン。仕事は一応、興信所の調査員。 初対面の二人が生年月日を言い合うシーンは面白い。韓国では一年でも年上だとそれだけで上下関係が決まる縦社会。「俺が年上だ」と偉そうにするイジョンジェに「登録証を見せろ」というくだりは、なるほどと思った。
なんとかその日を暮らす二人だが、調査相手に賄賂を要求していることがバレて興信所をクビになってしまう。イジョンジェは相変わらずの生活だが、チョンウソンはボクシングがどうしても忘れられない。ジムに舞い戻り再起を目指すのだが...。
後半はこの三人が絡まりあいながら、ソウルの横丁で明日を夢見ながらもがきうごめく姿が映しだされる。
やり直したくても、やり直せない。縁を切りたくても切れない。何年かしてから振り返ったら、泥沼でも何でもなく単にぬかるみに足を滑らしただけだと思うのに、今この時を濃厚に生きている若者には、永遠に抜け出せない泥沼に首までどっぷり漬かっていると錯覚してしまう。そんな「青春」のあせりと鬱屈感。それがとても上手く表現されている。
なかなかイイ作品ですが、一般に公開されるチャンスはそうないでしょうね。イジョンジェは、日本でそこそこ人気があるから、ひょっとすればビデオやDVDで発売になるかもしれません(期待薄だけど)。 この映画でチョンウソンがノジョンユン(以前サンフレにいた韓国のサッカー選手)、イジョンジェがチェヨンス(現ジェフの韓国代表ストライカー)に見えて仕方なかったのはボクだけですか? おしまい。 |