「アメリカン・アウトロー」

アメリカ伝説のヒーローものだ


  

「西部劇」というジャンルがどのように定義されているのか知らないので、この「アメリカン・アウトロー」という作品を西部劇として扱っていいのかどうかわからない。だけど、観た感じはまさしく「西部劇」そのものだ。馬に乗って荒野を走り回り、拳銃をぶっ放せば、それは西部劇。時代はちょっと外れているかもしれないけどね。

ストーリーは凄く簡単で単純。まるで日本のヤクザ映画。アメリカの歴史には詳しくないけれど、この作品の主人公ジェシー・ジェームズって、ひょっとしたら日本で言う「清水の次郎長」みたな人なのか?
彼は明らかに法律を犯している。でもそれはジェシー・ジェームズが悪いのではなく、法律の方が悪い。悪法だ。そんな法律を作った政治家どもに民衆は苦しめられている。だから、権力に楯突くジェシー・ジェームズはヒーローとして大衆に暖かく迎え入れられる。これって、任侠ものに良く似ている構造でしょ。

南北戦争が終わり故郷へ戻ると、そこは安住の地ではなかった。この地に鉄道が通ろうとしている。鉄道会社が土地の収用に乗り出している。「自らの手で開拓した土地を易々と手放してしまうわけには行かない」これが開拓者魂であり、ジェシー・ジェームズたちが下した結論だ。
まだ、鉄道がどんなものなのか良くわからず、理解されていない。どんなメリットを自分たちに提供してくれるのかわかっていない。駅前の一等地を買い占めて一儲けしようなんて思いもしていない。この辺りは「めぐり逢う大地」とは好対象。みんな欲がないんだねぇ...。
鉄道会社の土地収用責任者、そして彼の後ろ盾になっているアラン・ピンカートン。この作品ではすっかり悪役だから余計にそう見えるんだけど、かなり強引な仕事の進め方。何しろ、この土地の収用に絡んで人を殺しても、一切罪には問われないんだから。
でも、頭も切れるジェシー・ジェームズは、鉄道会社に一杯喰わして、凱歌を上げてパーティを楽しんでいる最中に報復を受ける。オマケに家まで焼かれてしまい、留守番をしていた母親を殺されてしまう!
「怒り」に燃えるジェシー・ジェームズ。兄と従兄弟たちを従え、鉄道会社への復讐を誓う。幼馴染の恋人を残し、野に下り、機を伺い、作戦を練る。鉄道会社へ、ひいては体制そのものへの復讐は成るのか?

ジェシー・ジェームズにはコリン・ファレル。単に射撃の名手であるだけではなく、頭脳明晰、人望も篤い。すなわちカリスマ性を持ち、民衆からの人気も抜群。
初めて観たのは「タイガー・ランド」という映画だった。舞台こそ違え、同じような役回りだった。最近では「マイノリティ・リポート」「デアデビル」にも出てましたね。この先どんな活躍を見せてくれるのか実に楽しみ!
彼の恋人役の女優さん、決して出番は多くないのですが、最近では珍しく昔のハリウッド女優を彷彿とさせる方ですね。大柄でボリュームたっぷりのブロンド。なんか懐かしささえ感じてしまいます。

ところで、この映画を観るまで「アウトロー」という言葉の意味を知らなかった。冒頭に「OUT LOW」と出て、初めて「法の外にいる男」なんだと知りました。ウ〜ン、勉強不足だったなぁ。そりゃ、ヤクザ映画と同じノリなわけや!

劇場は天六のホクテンザ。この作品が上映されているのは関西ではココだけだと言うのに、コリン・ファレルの名声はまだ天六には届いていなかった。水曜の18:30ごろからの上映の回には、コの字も知らないようなおっさんが四人だけ。いつもの天六そのままやんか。まぁ、決して嫌いではないんやけど...。
まぁ、特別肩が凝るわけでもなく、何も考えずに単純にドキドキし楽しめる、そんな作品に仕上がっています。ちょっとコリン・ファレルがカッコ良すぎるのかもしれないけどね。
もうしばらく上映しているはず。チャンスがあれば是非どうぞ!
ところでこの映画に出演しているヤンガー兄弟の弟って香港のサイモンヤムに似ていると思いませんか?

おしまい。