「blue」

いつも二番目


  

シネ・リーブル梅田で続けてレイトショー。
日本の映画で「blue」。魚喃キリコという人が描いた同名のコミックの映画化だそうです。主演の市川実日子は第24回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞しています(ちなみに昨年(一昨年?)は「華の夢・遊園驚夢」で宮沢りえが受賞していましたね)。

青春は想い出すもの。そのことに、青春まっただ中の若者は気が付かない。
そんなことをこの映画を観ながら考えていた。

新潟の女子高。桐島(市川実日子)は三年生になった。でも、卒業して何がしたいのかよくわからない。そのことはひとまず棚上げして、今日も仲のいい友人と屋上でお弁当を食べながらお喋りに花を咲かせている。
ある日、ふと視線が気になる。その視線の遠藤(小西真奈美)から発せられていた。今まで気にはなっていたが話しをしたこともない同級生。しかも、彼女についてはいいウワサ話しはなかった。
ちょっとしたことがきっかけになり、桐島は遠藤と言葉を交わすようになる。二人の中は一気に縮まり、遠藤の存在は桐島にとって掛け替えのない存在になっていく。しかし、遠藤はそうは思っていなかった。

二人の距離が縮んだり伸びたりしながらお話しは進んで行く。この二人の距離感が実に上手く描かれている。
同じ短大に進学しようと誘われる。また、救急車や中絶の話しをしてもらい、桐島は遠藤の「一番」になったと思うのだけど...。
夏休みに入って桐島は人から自分の知らない遠藤の事実を知らされる。そして遠藤は知る。
「自分は遠藤にとっていつも二番目なんだ」と。

この気の付き方、表現の仕方は「凄い」。驚いた。
「一番目が空席の時でも、私は二番目」

この夏休み中、桐島は遠藤から借りていた画集を見ながら「自分がしたいこと」に突如として気付く(いささか唐突だけど)。

ラストに行くに従ってちょっと叙情的になり、それまでのリアリティさが失われてしまうのが残念だけど、それはそれでおじさんになってしまったボクが過ぎ去りし青春時代を懐かしむには充分だ。
海が見える学校っていいなぁ!
桐島が思いこめてキャンパスに塗り込む青色こそ、桐島の青春なんだろうな。

遠藤を演じる小西真奈美は「阿弥陀堂だより」の時とは一転した、ちょっと背伸びしてツッパっているけど頼りなさも併せ持っている高校生を上手く演じている。
一方、桐島の市川実日子(なんて読むのかな?)は初めて出会う方だけど、とっても個性的な方。決してべっぴんさんではないんだけどね。唯野未歩子以来、久々に違う映画でまたお会いしたい日本人の女優さんです。今後に期待です。

すかっとせず、なんかもやもやとしたものが残る映画だけど、それも青春。まぁそこそこのオススメ。シネ・リーブル梅田では6/6までレイトショーで上映しているようです。
レイトですが30名以上のお客さんでした。そこそこ人気あるんだな。

おしまい。