「バルニーのちょっとした心配事」

マリー・ジランの可愛さ!


  

確かに陽射しは春めいているのに、気温は上がらないし小雪は舞うし、どうも3月に入ってから季節が逆行しているようだ。
早く春になってくれないかな。

さて、今回ご紹介するのは九条のシネ・ヌーヴォで公開中の「バルニーのちょっとした心配事」というフランス映画。
恋愛映画はいろいろ観てきたけど、この映画は三角関係をもう一歩進化(?)させた「四角関係」を描いているところが目新しく、楽しい。
しかも主人公のバルニーは普通のおっさんで、どう見てもモテモテではないところが新鮮だ。「なんでこんなおっさんがモテるんや」って思うよな、普通。でも、このバルニーを演じるファブリス・ルキーニって人はなかなか芝居が上手いし、何故か好感が持てる。

このバルニーはフランスのカレーに住んでいる。奥さんと中学生の娘がいる幸せな家庭を築いている。彼は毎朝、フェリーに乗りドーヴァー海峡を渡りロンドンにあるオフィスに勤めている。ロンドンではカッコイイイギリス人男性マークと広告会社に勤める若くてチャーミングなマルゴという二人の愛人と秘め事を楽しんでいる(許せん!)。
もうすぐバルニーの45歳の誕生日。あろうことか、バルニーは奥さん、マーク、マルゴの三人から別々に同じ日のオリエント急行でフィレンツェへ向かう旅行に誘われる(それも揃いも揃って45号車で)。
果たしてバルニーは誰を相棒に選んでフィレンツェに向かうのでしょう...。

この作品の見どころの一つは、バルニーが会社の洗面所で鏡に向かい、誰と一緒に行くべきか自問自答するところでしょう。鏡は三面鏡になっていて、画面には鏡に映った三人のバルニーがいる。この三人が意見を戦わせるシーンはなかなかの見物です。
でも、ほんとうのこの映画のポイントはマルゴを演じるマリー・ジランの可愛さですね。ほんとにキュートでチャーミング。ちょっと情緒不安定でアタマも悪そうだけどね、そんなことはどんどん許しちゃう。「オール・アバウト・マイ・マザー」のペネロペ・クルスのような感じ、このマリー・ジラン今後ブレイクするかな? どこかで見かけたことがあるかなと思っていたら「星降る夜のリストランテ」で不倫の女学生役で出てたんですね、あの時は彼女とこんなリストランテでディナーを楽しみたいと思ったんやなぁ...。

しかし、このバルニーってちっとも悪気や嫌味を感じさせない。普通、こんな三角関係を扱ったらもっとどろどろとした愛憎劇が展開されそうなもんだけど、そんなことは一切無くてあっさりとして、なおかつ奥さんの前では小心者を演じきるところが凄い。まぁ、マークが良くできた人間だという部分も大きいけどね。

ラストがやや急ぎすぎで、なんだか消化不良のような気もするけど、これは許容範囲内でしょう。まぁ、気楽に見てニヤッと楽しめる。そんな映画です。もうしばらく(3/21まで)シネ・ヌーヴォで公開している予定です。

おしまい。