「北京の天使」

こんなおじいちゃんと凧揚げがしたかった


  

九条にあるシネ・ヌーヴォは行かないときは何カ月も全く行かないのに、一度行きだすと続けて行ってしまう、そんな不思議な映画館。昨年末から公開中の企画上映「中国映画の全貌2002-3」はなかなか魅力的な企画だ。5回券を買い、もう使い切ってしまった。
今回観てきたのは「北京の天使」という作品。92年に作られた大陸の映画。わかっちゃいるけど「泣ける」作品。

北京に住むおじいちゃんは幼稚園に通う孫と二人暮らし。孫の両親は子供を残して仕事でヨーロッパに住んでいる。おじいちゃんは孫のために一緒に遊び、料理をし、洗濯をする。その合間に(?)郵便局での仕事もこなしている。
別段お金持ちという訳ではないが、孫と二人で心から満ち足りた生活を送っている。

そんな二人の生活に大きな転機が訪れる。孫の母親(おじいちゃんの息子の嫁)が二人を心配して帰国したのだ。すっかりおじいちゃんっ子になっているチェンチェンは母親が帰ってきたのは嬉しいが、何かにつけおじいちゃんと方法が違う母親になかなか馴染めない。おじいちゃんも嫁にはなかなか言いたいことも言えないのだ。
現代的な子育てをしようとする嫁の手前、おじいちゃんは以前住んでいたアパートに帰ることを決意する。別に嫁と喧嘩したわけでもなく、チェンチェンの将来を思うとそうしたほうが良いと思ったからだ。ある朝。いつものようにチェンチェンを幼稚園まで送りに行き「昼から迎えに来るよ」と言い残しておじいちゃんはそのまま古い家に行ってしまう。
母親が迎えに来たチェンチェンはおじいさんが来なかったのを不審に思いながらも、家に帰るとおじいちゃんの姿を探す。おじいちゃんが古い家に行ってしまったのを知ったチェンチェンは涙ながらに家を飛び出し、古い家に駆けていく。
でもおじいちゃんはドアを開けない。チェンチェンが来てくれて嬉しいのだけれど。そしてドア越しにチェンチェンに言うのだ「男だったらめそめそしてないで、お母さんの言うことを聞きなさい」と。

祖父と孫とのお別れのお話し、正直言って、これだけのお話しなんだけど、胸が熱くなって、思わずほろりとしてしまう。そんな罪のないいいお話しです。
いろいろ甘い部分があるのも否めない。安っぽいテレビドラマを見ているような気もします。
みんな人が好くて、悪い人も出てこないしね。嫁もよく出来た人だ。でもそんな弱い部分を撥ね退けるだけの魅力があるのも確かです。子役もかわいい。そしておじいちゃんとチェンチェンがいつも通る公園で一人佇む老人がいいんだなぁ。

次回、関西でいつ上映されるかわかりませんが、チャンスがあればお見逃し無く!

おしまい。