「輝く、第4回・偽ジェルソミーナ通信大賞」

発表です!


  

とうとう2002年も終わってしまいました。皆さんにとって2002年はどんな一年だったのでしょうか?
この一年「偽ジェ」をご愛読いただきありがとうございました。
後半は筆が追いつかず、まとめての配信・更新することが多くなりご迷惑をおかけしました。皆さんにお知らせする前に上映が終了しているケースも少なくありませんでしたね。ごめんなさい。
この一年でボクが観た映画の延べ本数は218本。かなり異常です。2003年はもっと「選んで」観ることにします。

さてそれでは、お待ちかね、恒例になりました(なってない?)「輝く、第四回・偽・ジェルソミーナ通信大賞」を発表したいと思います。
たくさん映画を観たけれど、あんまりいい映画に出逢っていないように思えるのは気のせいでしょうか。それとも観すぎで感覚が鈍ってしまっているのでしょうか? そのあたりはよくわからないのですが「いい映画観たなぁ」って思える映画は数えるほどしかなかったような気がします(の割には選ぶのに随分迷ったんだけどね)。
昨年に引き続き「部門賞」から...。

「韓国映画賞」日本では2003年早春公開の「猟奇的な彼女」。一足お先に香港で観ました(ちょっと反則かな)。とにかく楽しくて元気がいい。何はさておき是非観ていただきたい映画です。満席でノリのいい香港の若者たちと爆笑しながら観たという環境にも恵まれましたね。チョンジヒョン、チャテヒョンの二人は日本でもきっと人気が出るでしょう。ほんとに韓国映画は相変わらず元気がいい!
「中国映画賞」これはユーロスペースで観たアニメ集「上海アニメーションの奇跡・Aプログラム」「上海アニメーションの奇跡・Bプログラム」。とにかくどの作品もレベルが高くて素晴らしかった。できればもう一度観たい!
「香港映画賞」正直言って、今年観た香港映画はあんまりぱっとしなかった。「いいな」と思った作品はリバイバル上映されたものばかり。従って残念ながら「該当作なし」とします。
「日本映画賞」これはちょっと難しい。でも「Laundry」にします。観ていて何か心が癒される、そんな映画でした。今年ブレイクした窪塚洋介がいいのはもちろん、小雪、内藤剛志が良かった。
「アジア映画賞」インドやタイ、フィリピンなどの映画を観ました。中でも出色の出来だったのは「モンスーン・ウェディング」。ラスト雨の中でびしょ濡れになりながら踊るシーンと音楽は最高!
「欧州映画賞」これも難しいなぁ。今年はフランス、ドイツ、イタリアをはじめとして何本も観ました。中でもちょっと上映時間の長さが気になりますがなかなかの感動作「トンネル」を選びました。トンネルを掘り進める行為そのものよりも、人間愛に焦点を当てたところが素晴らしかった。
「特別賞」はオーストラリアからやって来た掌品「月のひつじ」。なんとも言えない感動作。この映画で描かれたような地味な役割の人たちに支えられてアポロは月へ言ったんだなぁ、としみじみ感動できます。ほんとに嫌味の無い、いい映画です。
「次点」は二作品。まず「メメント」、この映画には衝撃を受けると同時にクリストファー・ノーラン監督の底知れぬ才能に驚いてしまいました。映画が始まるや否やこの世界に引きずり込まれてしまい“心酔する”とはこういうことなのかと思い知らされました。同監督の「フォロウイング」も良かった(しかしメジャー・デビューの「インソムニア」は“...”、今後に期待ですね)。
そしてもう一本はキューバからやって来た「バスを待ちながら」は楽しい夢を見させてくれる作品でした。やや詰めが甘いところもありますが、こんなに楽しい映画も珍しい。何もかも放っぽり出してキューバへ行きたくなること間違いなし!

そしていよいよ「第四回、輝く偽・ジェルソミーナ通信大賞」の発表。
これは日本での劇場公開は決まっていないものの、今年一番の出来だと太鼓判を押せる韓国映画「悪い男・Bud Guy」に決定!
2月にソウルで、そして初夏に福岡の映画祭で観ました。異常とも思える出会いが愛にまで昇華していくさまが描かれている衝撃作。日本での公開が待たれますね。今年観た映画の中でも群を抜いた作品です。福岡での上映後、ホール中にさざなみのように広がるざわめきが印象的。ボクもソウルで観たときにはなかなか席を立てませんでした。

その他印象に残った作品は...、
切々と歌い上げられる音楽と流浪が印象的だった「耳に残るは君の歌声」、従来の戦争映画とは一線を画したイスラエルの「キプールの記憶」、強烈なラストを迎える「鬼が来た!」、新しい人間関係を模索して爽やかな「ハッシュ!」、ビートルズのナンバーが美しいだけでなく難しい問題に正面から取り組んだ「アイ・アム・サム」、ほんとに切ない「春の日は過ぎゆく」、パレスチナ問題の知らなかった側面を教えてくれた「プロミス」、爽やかな感動作で主題歌も良かった「白い船」、アニメの限りない可能性を思わせる「千年女優」、延々と流れる物語を語る異色作「ダスト」、俺も年だなぁと思わせた「なごり雪」、文句なしに楽しめた「スズメバチ」、「メルシィ人生」も面白かった、「記憶のはばたき」も地味ながら美しい作品でしたね、「エブリバディ・フェイマス」「MON-ZEN」は拾い物でした。そして「エンジェル・スノー」「たそがれ清兵衛」はボクの涙腺を痛く痛く刺激してくれました。
ついでに「とほほ賞」。何本か候補はありますが、ある程度期待していただけにショックも大きかった「世界の終わりという名の雑貨店」に決定。何も伝わって来ず、ここまで独り善がりの映画も珍しい。

俳優部門。「男優賞」「able エイブル」でアメリカに留学したゲンとジュンの二人に差し上げたいと思います(二人ともプロの俳優さんではないけどね)。この映画はこの二人だけではなく、二人を受け入れたホスト・ファミリー、学校、職場、地域を含めて全てが人間の可能性と素晴らしさを再認識させてくれましたね。
そして「女優賞」。ちょっと悩んだけれど、今後の期待も込めて宮沢りえ。
「華の夢・遊園驚夢」で今まで知らなかった彼女に出会い、「たそがれ清兵衛」ですっかり成長した姿に目を見張ってしまいました。

そして最後に「輝く、第4回・偽ジェルソミーナ通信・行ってみたい都市大賞」はキューバのあのバス停です。時間を気にせずおしゃべりや食事を楽しみながら何時乗れるかもわからないバスを待つ。その間に素敵な出会いもあるかもしれない。行ったら最後、帰って来れないような気もするけど一度のんびり行ってみたいな!

いつまで続くかわからないけど、これからも「偽ジェ通信」をお楽しみください。
2003年が皆さんにとって素晴らしい一年となりますように!
新年快楽!

おしまい。