「パルコ フィクション」

果たしてパルコの実態は?


  

あまり好きじゃないけど、関西ではここシネマ・ドゥだけでの上映だから仕方ない。梅田からバスに乗って心斎橋へ(知っている人は知っていると思うけど、ボクは「バスが大好き」なのです)。
渋谷にあるファッションビルPARCOを舞台にした(?)オムニバス・ムーヴィー。
渋谷にはよく行くようになったけど、ボクが持っているパルコのイメージは、かつて梅田にあった「阪急ファイヴ」そのもの。果たしてその実態はどうなのかよく知らないけどね。今では心斎橋のパルコはLoftに乗っ取られているけれど、実は広島にもパルコはあります。

全部で5話+エンドロール。
まず最初に、いささか強引とも思える手法で「パルコネーミング秘話」が展開され、このエピソードで一気に「パルコ フィクション」の世界に引き込まれていく。ボクが気に入ったのは、入社試験のエピソードと見上げられない症候群のエピソード。

「入社試験」は、ようやくパルコの面接に漕ぎつけた女子学生が、上手く受け答えできず、一緒に面接を受けた東大生に嫉妬を燃やすあまり、面接中に鼻血を出してしまう。ところが、落ち込んだ彼女が面接が終わってビルから出ようとするところで、追いかけてきた面接官から「この封筒を最後まで開けなかったら合格だ」とどこにでもあるような封筒を手渡される。彼女はどうにかしてこの封筒を開けようと努力するのだが、果たせず、そのままこの封筒のことは忘れてしまう。そして、見事パルコに入社した頃、彼女は仕舞いこんであったこの封筒を再び手にする...。女子学生役をしている女の子(真野きりな)、なんともとぼけたでも味がある女優さんでいい感じですね。
そして「見上げてごらん」も主演の女の子(唯野未歩子)がいい。決して美人とかかわいい人ではないのだけれど、どこか掴み所のない不思議な魅力を持っている女優さんです。彼女はパルコに勤めているのだけれど、いつもうつむいて下ばかり見ている(だから、よく拾物をするそうだ)。自分の目線以上に上を向けない性格であり、病気なのだ。そんな彼女とタイミング良く現われて彼女を救ってくれるパルコの警備員の恋物語(?)。

それぞれのエピソードが独立している訳ではなく、それぞれの登場人物が少しずつ各話に顔を出して盛り上げてくれます。他のエピソードも程よく練られており、ニヤっとさせてくれる佳作揃いです。決してパルコのプロモーション作品ではなく、各エピソードの切り口にパルコが使われているって感じですね。 残念ながら上映は終了してしまいましたが、チャンスがあればご覧になっても損のない作品なのではないでしょうか。

次回は二コール・キッドマン主演のコメディ「バースデイ・ガール」、その次は今が旬なのかこの「パルコ フィクション」にも出ていた唯野未歩子主演の「さゞなみ」をご紹介する予定です。

おしまい。