「ブラック・ナイト」

目を引く奇抜な設定


  

この週末はスポーツ観戦で忙しかった。
土曜日は、まだJ1残留は確定していないものの、首の皮一枚を残して土壇場で踏ん張っている我等がサンフレッチェ広島をビッグアーチで応援。先週のアントラーズ戦に続いて2-0で快勝。久しぶりに身体に震えが来るような「快感」を覚えたね。特に後半に入ってから、ボクが見ているサイドへサンフレが攻撃するようになり、沢田のゴールが決まった瞬間は、嬉しくて身体が熱くなり、涙が出そうになりました! 弱くてふがいなくても真剣にサポートできるチームを持って観戦できる幸せは筆舌では現せないほど「幸せなんだなぁ」と実感しました。あと1試合。まだまだ他力本願だけどどうにか勝って残留してもらいたい!
続いて日曜は「惜別・西スタ」。ここで開かれる関西学生アメリカンフットボールの試合もこの日がラスト(だったはず)。締めくくりはなんとギャングの試合ではなく、今年の天王山、パンサーズとファイターズの対戦(ギャングは昨日、ボクがサンフレの勝利に酔いしれている間にデビルス(近大)に敗れている)。
以前のように、内外野ともほぼ満席とはいかないが、そこそこ入っている。試合はパンサーズが、1Q最初のドライブでいきなりビッグプレーでTDパスを通して勝負そのものは決まってしまった。リーグ戦はこれで終了。来年からの舞台はどこになるのかわからないけれど、三強時代は終わり、一強の時代に入っていくのだろうか、それとも三強を軸にデビルス、レイバンズが絡んでくる展開になるのだろうか? 来年も目が離せない。

さて、今回ご紹介するのは「ブラック・ナイト」というアメリカ映画。「黒い夜」ではなく「黒い騎士」という意味ですね。場所は天六にあるユウラクザ。いつも行くホクテンザは同じビルの5階になります、1階にあるのが今回のユウラクザ。同じような雰囲気だけど、このユウラクザの方が座席数も多いし、スクリーンも大きい。でも、お客さんの入りはパラパラと10人も入っていない程度で、これは上とあまり変わりませんね。お世辞にも綺麗とは言えない映画館だけど、ここ数年急に個性的な映画を上映するようになっています。今後も期待したいですね。

「ブラック・ナイト」はそこそこ面白かった。

郊外にあるさびれたテーマ・パークで働く黒人の青年・ジャマールが主人公。このテーマ・パークは中世のお城を模した作りが売りだけど、もうひとつパッとしない。最近、近所に同じような内容で規模が大きいテーマ・パークが新規に開店することになり、彼の勤務先はいつまで頑張れるかわからない。
そんなある日、ジャマールはボスからお濠の清掃を命じられる。ゴミが浮かぶお濠の底に何か光るものを発見したジャマールは、金目のものだと判断し、それを拾おうとして橋の上から身を乗り出したとたんに水の中に引き込まれてしまった!

げっ、と思ったのもつかの間、ジャマールは水面に顔を出す。彼の首にはお濠の底で光っていたメダルがぶら下がっている。岸に泳ぎ着き、あたりを見回すとそこは森に囲まれた静かな湖のほとり。
何かおかしいとは思いながらも回りを見回すと、近くに中世の衣装を着た男が横たわっている。その不潔そうなオヤジを見て、眉をひそめる。彼は清潔好きなのだ。でも、お人好しのジャマールは苦しんでいる様子のこのオヤジを介抱してやるのだ。
森の中を歩いていくと村に出た、その奥には立派なお城が鎮座している。ジャマールはここをオープン間近に控えているライバルのテーマ・パークだと思い込んでしまったのだ。
村やお城の中で交す人々とジャマールのやり取りは、噛み合わないのに「思い込み」っちゅうのは恐ろしいし、面白い。
自分が中世のイギリスにタイムスリップしてしまったのに気がつかないまま、ジャマールはこの城の主からフランスからやって来たノルマンディ卿の使者として迎えられてしまう。

お城の大広間で開かれた王様が主催する晩餐会のシーンがこの映画の一つのハイライトでしょう。「何かを踊りを披露せよ」と王に命じられたジャマールは、楽士たちをリードして現代音楽を奏でて、広間中がディスコのようになるのは圧巻。

しかし、このシーンが終わると、この映画は急に輝きを失ってしまう。
ジャマールの思い込みが間違いで、自分はライバルのテーマ・パークにいるのではなく、本当に中世のイギリスにいるのだと気が付いてしまってからは、前半のような面白くないのだ。
ここまでは現実と思い込みのちぐはぐさが面白さを醸し出していたのに、サイドストーリーであった王位の復活が全面に出てきて、それを未来からやってきた若者(ジャマール)が手助けするという展開になるのがどうもなぁ...。

それなら、タイム・スリップする前の人物紹介をもっとしっかりやって、何人かをこの中世にも登場させたり(行き倒れの騎士や近衛隊長、流浪の女王や平民を何人か)、その逆も取り入れる(城壁から転落する王を現代にタイムスリップさせる)。また、王の召使の女性とジャマールのロマンスをしっかり描くべきでしょう。
出だしが面白かっただけに「正気に戻ってから」がちょっとマジになりすぎ、惜しいなぁ。それに、ジャマールが悩むことなく簡単に現世に戻れるのもおかしいよ(本来なら、そここそがこの手の映画のクライマックスになるはずなのに!)。

まぁ、それでも一応合格点は出せる作品でしょうか。そんなにヒドイ映画ではありません。ツボを押さえたコメディ映画に仕上がっていますよ。
残念ながら上映は終了してしまいました。ビデオ化されたらヒマつぶしにでもご覧ください。ひょっとしたらジャマールを演じたマーティン・ローレンス、今後おお化けするかもしれません。

次回は久々に東京で観た映画「ガーゴイル」(ヴィンセント・ギャロ主演)、続いて神戸でレイトショー公開中の「クライム&ダイヤモンド」(この映画はオススメ!)をご紹介する予定です。

おしまい。