「彼女の恋からわかること」

実験は失敗だ!


  

久しぶりにレイトショーまでがんばった。でも、途中で何度も何度も気を失いかけてしまい、その度にハッとして目を覚ます。そろそろ外と中との気温差が大きくなって、暖かい映画館の中に入っているとどうしても気が緩んでしまうのだ。でも、今回眠気に襲われたのは暖かさだけではなかたっような気もするけどね...。

この監督の前作「彼女を見ればわかること」はなかなか良くできたオムニバスムービーだった。今度は10人の俳優さんを使ってのオムニバスらしい。ちょっと期待していた。

凄いよこの映画は。作り手の意欲が空回りしている。観ているこちらは、その空回りがカラカラと音を立てて回っているのが手にとるように感じられる。そして、次第に眠気に誘われて...。

最初画面に現れたのは、一人の女性が自宅の居間で椅子に腰掛けているバストアップのシーンだ。唐突な感じで彼女が話し始める(どんな話しをしたのかは、残念ながら忘れてしまったけど)。カメラは全く動かずに(動いていたかもしれないけど)固定されている。
だいたい5分くらいだったかな。あれっもう終わり、って感じでシーンが切り替わり画面には「two」と表示される。先ほどの女性とはちょっと違った感じの部屋で、またしてもバストアップかそれよりもうちょっと引いた感じ。そして、その女が語り始める。それはとうとう10人目まで、時間の長短はあるけど基本的に一人の女性がカメラに向かって自分の恋愛経験を淡々と一方的にしゃべり続けるだけだ。

これは、カメラの前の女性にとっては彼女の女優としての力量が試される芝居だと思う。5分から15分ほど、身体全体を使った演技ではなく、簡単な身振り手振り以外は語り口と目の表情だけで一気に表現することを強いられるからだ。生半可なもんじゃないだろう。各人はその要求にある程度応えていると言えるんじゃないかな(エンディングにNG集を流してくれたら、もっと面白かったのに!)。

しかし、観ているこちらは退屈。いや、退屈を通り越してしまい、正直言って苦しかった、眠かった。それぞれの恋愛体験談は決して詰まらなくはないのだけど、それを固定したカメラで淡々と撮影するというのはどうだろう? 映画館に足を運ぶのは映画を観るためであって、ラジオの朗読会を聞きにいくためではないのになぁ。

映画に求めているものは何か? そんなことを考えさせてくれる作品ではありましたね。
もちろん、この映画を観て「素晴らしい!」と思う方もいらっしゃるでしょうが、ボクには全然アカンかった。映画館の椅子で睡魔と闘っているのなら、あったかい自分の布団で寝ているほうがずっと良かった。

もう、上映は終了してしまいました。もし。興味をお持ちでしたら、(眠くないときに)ビデオかDVDででもご覧ください(きっと最後まで観てられないでしょうけどね)。

おしまい。