「スズメバチ」

こりゃ、なかなか面白い!


  

今年はツイていないと言うか、何か応援しているチームの調子がどうも良くなのよね。サンフレがこんな調子なのは仕方ないとして、先週の日曜に突如真冬のような北風が吹く京都・西京極球技場へ学生フットボールの京都決戦・ギャングVSパンサーズの一戦を見に行きました。
寒かった。西山から吹き降ろす風が冷たいだけでなく、パンサーズに全く歯が立たないギャングが寒かった。これで今年のフットボールも終わったな(淋しい...)。

さて、映画のお話しです。
「これ、なかなか面白い。何(なん)でもっと宣伝を打たへんのやろ?」
ハリウッドの映画とはちょびっと違う味付けがしてあるフランスの映画。そんなに期待していなかっただけに、クリーン・ヒットです。

倉庫に保管してあるノートパソコンをごっそり頂戴しようと計画している窃盗団。入念に計画が練られており、倉庫への浸入に成功、警備員を縛り上げ、トラックにパソコンを積み終えようとしているところに想定外の異常事態が発生した。
一方、国際的マフィアのドンの逮捕に成功した仏・独・伊の警察連合は、このドンを裁判のためにフランスのストラスブールへ移送中。目を見張らんばかりの重警備体制が敷かれている。ドンを乗せているのは装甲車だ。しかしその道中、ドンの奪還を目指すマフィアの激しい攻撃に遭い、護衛は殺されしまい装甲車も激しい攻撃を受ける。
この移送を指揮しているフランス軍(警察?)の女性中尉(ナディア・ファレス)は装甲車を窃盗団がいる倉庫に突入させたのだ。しかし、ほどなくこの倉庫はマフィアに包囲され、激しい銃撃を受ける。

装甲車に乗ってきた移送チームの3人。訳がわからないまま激しい銃撃を受けてしまった窃盗団の5人。そして、この倉庫の警備員2人。
この10人は生きてこの倉庫から脱出するために、力を合わせて外にいるマフィアの手下たちと対峙することになってしまった。

この映画の良さは、下手なドラマ的な要素は極力抑制したタッチで描かれていること。生き残るためには身分や考え方、イデオロギーなんかは関係なく、とにかくこの目の前にいる敵(マフィア)を倒すしかないという目的に的を絞っていることだろう。そのために必要なことは内紛ではなく連係だ。
そして、圧倒的な人数と武器で倉庫に迫ってくるマフィアとの壮絶な闘いが始まる。
もうひとつの良さは、マフィアはドン以外は姿は見せても顔すら見せない、という点だ。ストーリーの焦点をほぼ倉庫の内部に限定してしまっている。それが凄い緊迫感を生んでいる(と言うか、マフィア達に人格を持たせないことによって、観ている側はこの戦闘をテレビゲーム感覚で楽しむ(!)ことができるのだ)。
このしたたかな演出がこの映画をぐっと引き締め、面白くしている。

なんか観ているボクも倉庫の中で彼らと一緒にマフィアと闘っているような気がしてきます。そして映画の終わりには何故か心地よい疲労感が残っている、そんな作品です。
もうしばらく梅田ブルク7他で上映していますので、お時間が許せばご覧ください。下手な戦争映画よりもずっと面白いこと間違いなし!

おしまい。