「ダウン」

急に熱がさめていく


  

先週の土曜日に天六のホクテンザで観てきたのは「ダウン」。アメリカの映画。
この春の話題作だった「マルホランド・ドライブ」に主演していたナオミ・ワッツが出ている。彼女はもうすぐ公開予定の「ザ・リング」にも出ている、今が旬の女優さんですね。「マルホランド・ドライブ」以来すっかりボクのお気に入りの女優さんなのです。
いつもはガラガラのホクテンザですが、この「ダウン」は大阪ではここだけでの上映なのと土曜日ということもあってか30名余りの入り。少しびっくりしてしまいました。この後、10月26日(土)からは中国映画特集の上映会「中国映画セレクション2002」があり、ボクがまだ観ていない新作も2本上映されます。続いて韓国映画特集もあるので楽しみです!

さて「ダウン」のお話し。
最初はちょっととっつきにくいお話し。それは、一体誰が主人公なのかよくわからないからだ。
冒頭から物語をリードしてくれるのは、エレベーター・メーカーのサービスマン。この人が主人公かと思っていたけど、次第にこの人は影が薄くなっていく(と言うか、中盤以降に淋しく謎の死を遂げてしまう)。
その代わりに彼の海兵隊時代からの友人で、この仕事(エレベーター会社のサービスマン)をはじめて二カ月ほどの相棒の青年マークが前面に押し出されてくる。ナオミ・ワッツ扮する三流新聞の記者に取材(?)を受けるあたりからようやく物語りの輪郭が見えてくるのだ。

それにしても、この映画ほど前半、中盤と後半とでがらっと趣きが変わってしまう作品も珍しい。一番面白いのは中盤だろう。
ニューヨークのランド・マーク的なビルである「ミレニアムビル」の高速エレベーターが謎の故障を繰り返し、とうとう現実には起こりえないような事故を巻き起こしてしまう。その理由をマークとナオミ・ワッツが共同で探し始める。

ところが、その理由がわかり始めてからは急にこのお話しは魅力を無くしてしまう。期待がしぼんでいき、展開も陳腐なものになっていくのだ。
謎の研究員とエレベータ会社の社長は結局何がしたかったのか? そして、ほんとにこれで大円団なのか? どうも、とってつけたような気がしてならない。

エレベーターを題材にした映画は昨年の今ごろ観たトルコの映画があったけど、お話しとしてはトルコの作品の方がずっと面白かった。確かにこの「ダウン」という映画の「エレベーターが意思を持ったら...」という着想は素晴らしいんだけど、その着想の面白さが最後まで生かされなかったのが惜しい。

「ブリジット・ジョーンズの日記」でレニー・ゼルウィガーが人気になり、急遽「しあわせ色のルビー」が公開されたように、「マルホ...」で注目され「ザ・リング」にも主演するナオミ・ワッツの出演作を探してきました、って匂いプンプンする映画でした。もうしばらく天六のホクテンザか神戸のシネ・リーブルで上映しています。興味があればご覧ください。

おしまい。