「ジョンQ/最後の決断」

感動間違いナシの硬派の社会派ドラマ


  

今回ご紹介するのも試写会で一足早く拝見してきた「ジョンQ/最後の決断」という作品です。
このところ映画を観すぎで感性が鈍ってきたのか、この映画がクライマックスにさしかかる頃、会場のあちこちからすすり上げるような音が聞こえてきますが、ボクは残念ながらそこまでは...。

シカゴに住むアフリカ系アメリカ人一家が主人公。
折からの不況で、ジョンQはフルタイムの社員から半日勤務のパートタイムへの格下げされてしまう。借金がかさみ楽ではない生活だが、休日には息子が所属する野球チームの応援に出かける良いパパだ。
そんな最愛の息子マイクが試合の最中に倒れてしまう。駆け寄って病院に運び込むジョンQ。だが、病院の診断結果はマイクの心臓には欠陥があるというものだ。マイクを救うには心臓移植しかないと宣言される。

心臓移植には多額の医療費が必要だ。ジョンQは勤務先で入っている医療保険でこの移植手術費用も賄えると思ったのだが...。
会社側は半日勤務のパートの保険内容を切り替えており、マイクの手術費用は保険の対象外になってしまっていた。つまり、ジョンQはマイクを救うために多額の現金が必要なのだ。
やり手の病院の理事長は心臓移植のウエイティングリストに載せるだけでも7万5千ドルが現金で今すぐ必要だと告げる(この一見、冷ややかな理事長・アン・ヘッシュ、なかなかイイ感じです)。

ここから、ジョンQの涙ぐましい努力が始まる。
役所に掛け合う。売って現金化できるものは何でも売ってしまう。クルマも家財道具も何もかもだ。周囲もジョンQとマイクのために寄付活動を展開する。しかし、それでも7万5千ドルには遠く及ばない...。

そしてある日、妻のデニスから受け取ったたのは「マイクが退院させられる!」という悲鳴。病院側はお金がないジョンQの息子・マイクを見捨てたのだ。
医療活動は奉仕ではなくビジネスだと言うことは理解できる。医療保険も完全なものではないこともわかる。でも、自分ではもう何も出来ない。何も出来ないことは、最愛の息子がこのまま死んでしまうことを意味する。
やり場のない怒りを感じたジョンQが下した「決断」は...。

いくら心臓移植の権威だって理事会の決定の前にはどうしようもない勤務医を演じきったジェームズ・ウッズ、老いた警部補役をひょうひょうとこなすロバート・デュヴァル、この二人のアクセントが効いていますね。
もちろん、ジョンQを熱演したアカデミー賞主演男優賞を受賞したばかりのデンゼル・ワシントンが凄いのは申すまでもありませんね。

素直に観れば、感動間違いナシの硬派の社会派ドラマ。11月に公開予定だそうです。お楽しみに。

おしまい。