「プレッジ」

なんという悲しい結末


  

ようやく長くつらかった夏が終わろうとしている。いやぁ、今年の夏はほんまに暑かったですね。そして苦しかった。そして、街にも初秋の趣がやってきた。大きくため息が出てしまいます。
涼しくなるのを待ち構えていたように様々なイベントが目白押し。まず、競馬。これは9月に入ると地元仁川(阪神)での開催がスタート。フットボールもシーズン開幕、今年もシーズンのパスを購入してもう2回も宝ケ池に足を運びました。そして山歩きもシーズンを迎えました。ほんとは9月中に富士山にアタックする予定でしたが、ボクの不徳の致す所で勝手ながら延期になりました、代わりに手近かな大舟山を歩いて来ました。
二回連続の三連休も予定がびっしり。あぁ、忙しい!
最初の三連休、まず土曜日は岸和田の地車(だんぢり)。これは数年前に初めて観て以来、すっかりはまってしまいました。そして日曜は早朝に山歩きを楽しみ、シャワーで汗を流してから映画を三本はしごしました。

一本目はこれからご案内する「プレッジ」。劇場は新梅田シティの梅田ガーデンシネマ。前日に公開されたばかりで、主演がジャック・ニコルソン、監督がショーン・ペンという豪華な組み合わせということもあってか7割ほどの入りでたいしたものですね。
中身は浮ついた娯楽作品ではなく、なかなか考えさせられる映画でした。

定年退職って、今まで遥か向こうにあって自分には「まだ」関係の無いことだと思っていたけど、そうでもなさそうだ。そんなことをこの映画を観ながら考えていた。
主人公のジェリー・ブラックが定年を迎えたその日に最後の事件が発生する。ジェリーは自分のためのさよならパーティー会場を抜け出し、現場へ向かう。そして、被害者である少女の両親に事の次第を説明しに行く役目を申し出る。そこでジェリーは被害者の母親に「必ず犯人を見つけ出す」と約束(プレッジ)するのだ。
目撃者の証言から犯人が検挙される。その男は取調べ中に自白する。予想外のスピード解決だ。
しかし、ジェリーのカンは「この男は犯人ではない。どこか別に真犯人がいるはずだ」と告げていた。
そして、取調べが終わったとき、この男は警官から銃を奪い、その拳銃で自殺してしまう。
刑事ではなく「元・刑事」になったジェリーは自分のカンを信じて独自に捜査を続ける。しかし、上司や同僚はそんなジェリーにいい顔をしない。そう、この事件はもう「終わった事件」だったのだ。

そんなジェリーの姿は肩書きも権力もなく淋しそうだ。だが、その肩にはやる気が漲っていたように見える。現職中には考えもつかなかったような「持久戦」に出るジェリー。まるで執念深い蛇のような凄みを感じた。そして、真犯人の姿へ一歩一歩近づく彼の姿には、共感し応援したくなるものがあった。

それがどうしたことだろう。あんなにラッキーが続いていたのに...。
一度狂いだした歯車はもうもとには戻らない。

なんという悲しい結末だろう。
ある経営者が「まだまだ若いという考えが、誤った判断を下す」と言っているのを最近耳にしたが、このジェリーにもこの言葉が当てはまるのだろうか?

映像が美しい。ジェリーが被害者の農場を訪れるシーンは圧巻です。
ジェリーが組み立てたブランコで一心に遊ぶ少女がとてもかわいいですよ。

是非にとは言いませんが、お時間が許せばご覧になってください。もうしばらくガーデンで上映中です。次回は続けて観たメキシコ映画「天国の口、終わりの楽園」をご紹介します。

おしまい。