「ル・ブレ」

コネタがびっしりのフランス映画


  

どんなに面白い映画でも、その映画を観る環境によって、その面白さは倍増したり、半減したりすものですね。いや、面白いはずの映画でさえ、劣悪な環境の下で観てしまうとつまらないとさえ感じてしまうかもしれない。しかも、それがコメディ作品だったりするとその差は顕著だ。
そりゃそうだよね。40過ぎのおっさんが仕事帰りに一杯引っ掛けてから一人で観ているのと、まだ付き合い始めて日が浅い初々しい10代後半のカップルが二人で映画館へ足を運ぶのとは自ずとその映画に対する感想も違ってくるはずだ(若いカップルは映画の内容なんて覚えていないこもしれないけどね)。
そんなことはいいとして、この日は梅田のOS劇場で19:00からの回へ行った。19時少し前に付いたんだけど、ロビーには人影が無い。なんかイヤな予感がしたんだよ。
映画が始まるブザーが鳴り始めて場内を見渡すと、どうみても「招待券で来ました」って感じの老齢のご婦人二人組みと、仲が良さそうな学生風カップル、学生風の男の子一人、ボクと同年輩のネクタイをした会社員、そしてボクという7名だけだ。館内には冷房がガンガン効いていて寒い事このうえない。映画が始まる前から、北風がビュuービュー吹いているよ。

さて、映画のお話し。
おかしな二人の珍道中を描いたフランス製のコメディタッチ・ロード・ムーヴィーです。
「ムッシュ・カステラの恋」でカステラを護衛するガードマンに扮していた渋目のおっさん、ジェラール・ランヴァンが主役で、彼の相手役がブノワ・ボールブールドという軽薄なおっさんだ。
暗黒街の大物モルテス(ジェラール・ランヴァン)は服役中。刑期満了を目前にしたある日、看守のレジオ(ブノワ・ボールブールド)からかみさんの操縦方法について相談を持ちかけられる。モルテスは適当にアドバイスをして、最後にこう言う「頼んだ宝くじはちゃんと買ったよな」。「明日持ってくるよ、家内が買っているはずだから」。
ここから、この妙な二人組みの大いなる旅が始まるのだ。

全編に渡って、コネタがびっしり詰まっている。大爆笑ではないものの、思わずプッと吹き出してしまいそうなギャグのオンパレード。
最大の見せ場は、パリの街中で大観覧車が地面をごろごろ転がって行くシーンでしょう。ここは見ごたえがありますよ。
しかし、だ。あまりにもお寒い場内にはウンともスンとも反応が無い。一人でクスっと反応しているのはボクだけだ。こりゃぁ、あんまりだ!
もし、この映画を香港の旺角にある映画館で満員の観客と一緒に観ていたなら、ほんと何倍も何十倍も面白かったたろなぁ...(残念!)。

モルテスの宝くじを追って、二人ははるばるアフリカのリマまで行く。レジオのかみさんがパリ・ダカール・ラリーの医療班のスタッフになったからだ。
アフリカで二人を待ちうけていたのは、謎のアフリカ人兄弟、モルテスの命を狙うパリの暗黒街のライバル、ラクダを操るアラブ人(?)などが入り乱れて登場する。
もう、ほとんどドタバタの世界です。
ややまとまりに欠けるきらいはあるものの、軽い気持ちで最後まで楽しむことができます。
お時間がある方はお楽しみ下さい。あと1週間(9/20まで)はOS劇場で上映しているハズです(なるべくお客さんが多そうな時にご覧になることをオススメします)。

レジオのかみさん役は、これでもいいんだけど、もうちょっと色気むんむんで見た目がいい人のほうが良かったんとちゃうかなぁ...。モニカ・ベルッチとまでは行かなくてもいいんだけど...。

おしまい。