「チェンジング・レーン」

こじんまりとした作品


  

正直言って、どうも掴み所の無い映画だ。
確かに着想は面白いし、俳優も好演していると思う。だけど、なんか足りないような気がする。そんな作品だ。

主演は、このところ映画に出まくっているベン・アフレックとサミュエル・L・ジャクソン。この二人の組み合わせはなかなかいい感じ。
ギャビン(ベン・アフレック)は大きい法律事務所の若きパートナー(共同経営者?)。一方、ドイル(サミュエル・L・ジャクソン)は保険の電話勧誘員。同じニューヨークで働いていながらも全く違う境遇の二人がひょんなことがきっかけで出会い、そしてお互いの人生が一瞬交差するのだ。そんな二人の半日のことが描かれているストーリー。

この映画の難点は、小さな山場が何ヵ所か用意されているけれど、ほんとに大きな山場に欠けていることだと思う。最後のギャビンの行動も「アメリカ映画ならさもありなん」と充分予想の範囲内だしね。別に「一発逆転」なんてどんでん返しは期待していないけど、どうも盛り上がりに欠けるこじんまりとした印象しか残らない。
かと言って、熱い男の闘いっちゅう訳でもないしねぇ。ヒューマンドラマでもなし、どう説明していいのやら、難しい。

ギャビンがサミュエルに手を焼いて、奥の手を繰り出して、コンピュータを操作して破産させてしまうエピソードはなかなか面白かった。いっそのこと、この話しで一つの作品を作った方が面白いものになったかもしれないね。
一箇所、感心したのは、ドイルが酒のせいで家庭崩壊に陥ってしまったのをさりげなくわからせる一連の演出だ。これは「さすが」と思ったね(彼がバーに入り、書とグラスを前に一人闘う姿もなかなかイイ、最後はちょっとくどいけど)。こんなに丁寧に作れるのなら、全編を通じて丁寧に作ってもらいたかったな。慈善団体の後継者の娘とギャビンの関係や、ギャビンと秘書との浮気、慈善団体の信託財団からの横領などなど宙に浮いてしまったり、舌足らずのエピソードが多かっただけに残念です。

決して、難しかったり、わかりにくい映画ではありません。適度にはらはらどきどきもできます。「時間があるから、映画でも観ようか」って方には肩のこらない作品としてオススメしておきます。
今回は試写会で拝見してきました。公開は11月にナビオシネプレックスなどで予定されているようです。

次回はフランス映画「ル・ブレ」をご紹介します。

おしまい。