「イン・ザ・ベッドルーム」

夫婦って何か?


  

行ってきました。
「平成淀川花火大会」。今年で4年連続の参加でしょうか。今年は巡り合わせで土曜日の開催。17:00過ぎに塚本駅に着いたんだけど、凄い人でした。昨年の明石での事故の影響もあってかものものしい警備です。しかし、花火というのはきれいだねぇ。人の心を魅了します。ごっつい轟音と煙りなんだけど。一瞬にして消え去るはかなさがまたいいんだなぁ。今年も花火を満喫しました。

で、この花火の前にOS劇場C・A・Pで観たのは、この日が封切初日だったアメリカ映画「イン・ザ・ベッドルーム」。主演はシシー・スペイセク。この人がもう随分前にアカデミー賞の主演女優賞をもらった「歌え!ロレッタ愛のために」(1980年)も、当時この界隈にあった梅田コマ・ゴールドという映画館で観たなぁなんてことを思い出していました。
そんなことよりもビックリしたのが、お客さんの多さです。初日でもきっとガラガラだと思っていたら、なんと長蛇の列。結局20名以上の立ち見が出る盛況でした。ボクは勝手にこの映画は地味な作品だと決めつけていたのですが、そうではなかったようですね。

アメリカは東海岸にあるメイン州の小さな海辺の街・カムデンが舞台。この街で診療所を開いているマットとルースの夫妻には一人息子のフランクがいる。彼はボストンの大学で建築を学んでいるが、夏休みでこの街へ帰省していた。 この映画の前半は、マットの一家が「誰がどこから見ても」という訳にはいかないけど、ごく小さな問題をかかえながれも、それなりに幸せな一家であることが、まさに淡々と綴られている。
マットは漁船をもっていてフランクと一緒に近所の男の子と一緒にロブスターの漁に出かける。また、自宅でのガーデンパーティには大勢の友人に囲まれほんとに楽しそうだ。
フランクはこの街で、一人の女性と知り合い、恋に落ちる。その相手はナタリー。一緒にロブスター漁に出かけた子供の母親だ。父親とは離婚を前提に別居しているが、正式には離婚していない。そんなフランクにルースは不安を覚える。フランクを問いただしても「なぁに、ひと夏の恋さ」と軽くいなされてしまうのだ。

そして、ルースの不安は的中してしまう。不幸な事件がマットとルースの夫婦を襲うのだ。
ナタリーの別居中の夫が、ナタリーの家でフランクを撃ち殺してしまう。
そして、ストーリーは意外な展開を見せはじめる...。

この映画の見所ははストーリーそのものよりも、事件後のファウラー夫婦の会話にあるのだと思う。ここまで面と向って言い合いが出来る夫婦って凄いぞ。この二人を見ていて「夫婦って何か」ということを考えさせられた。
多くの人たちは幸運に恵まれて、小さな問題を見過ごしたまま、大きな不幸にも出会わず幸せな一家のまま時を過ごすことができるのだろう。また、あるいは大事件にみまわれなければ、小さな問題の積み重ねが不幸というかたちで噴出してくることもないのだろう。
でも、ファウラー家のように、大きな不幸にブチ当たってしまうと...。夫婦は失ったものの大きさに耐えかねてしまうのだ。
この夫婦はある意味「いい夫婦」なのだと思う。でも、いくら「いい夫婦」でも、死んでしまったフランクが帰ってくるわけではない。
題材は少し前に観たイタリア映画の「息子の部屋」に似ている。でも、夫婦の落とし前のつけ方は随分違うものなんですね。

しばらくは上映しているはずなので、興味をお持ちの方はどうぞご覧下さい。
マットの親友の奥さん役の人、どこかで見たことあるぞ! でも、思い出せない!

次回は香港映画「SPY_N」をご紹介します。 おしまい。