「父よ」

執念の青い炎が燃えさかる


  

先週の土曜は久々に家にいた。このところちっともかまってやれなかった植木の手入れをして、生え茂る雑草を抜いて、害虫の駆除をして、最近捕獲してきたザリガニの水を替えて、芝生を刈って...と忙しく午前中を過ごした。汗もたっぷりかきました。その後のシャワーとビールと昼寝がなんと気持ちの良いことか! この世の極楽ですね(えらく、安上がりだけど)。
日曜は神戸で知人の結婚披露宴(松本くん、池さん、末永くお幸せに!)。
朝、目を覚ますとアゴのあたりがむずがゆい。おかしいなと鏡を見てみると上唇から下にたくさんぶつぶつが出来て、腫上がっている。「ありゃぁ!」
どうやら、きのう何かに触ってかぶれたのか、イラガの毒液攻撃にやられたのか。首にタオル巻いて、帽子に軍手、長袖、長ズボン、長靴という万全の体勢だったけど、顔だけは無防備やったからなぁ。
月曜の朝が一番ひどく腫れていて、仕方なくお医者さんへ行きました(もうすっかり治った)。

さて、映画のお話し。OS劇場C・A・Pで観てきたのは「父よ」というフランス映画。静かに感動できるとなかなか評判もいい。予告編もよく出来ている。火曜の最終回でも50名ほどの入りとなかなか盛況。OS劇場C・A・Pはどの席でも観易くていい劇場です。

抑制が効いた静かな作品です。
でも、悪く言えば「盛り上がりに欠ける」とも言えるなぁ。

主人公の二人の息子は殺人事件を起こし、一人は逃亡中に死亡し、弟は裁判を受け「死刑」が確定する。今までソリがあわなくて、父と子の関係は冷え切っている。しかし、父親は静かにそしてしぶとく息子の命を救おうと運動を続けるのだ。この映画のテーマは「変わることのない親の愛」だろう。主人公の次男に対する無償の愛、そして執念はひしひしと伝わってくる。
監獄の向かいにあるカフェ「あっちよりまし」(絶妙のネーミング!)に足繁く通い、監獄の看守や出獄してきた囚人から情報を集める。何度も何度も面会へ赴く。工作資金を作るために金歯をはがしてお金を作る。これでもかってエピソードが綴られる。しかも、その全てが静かに、そして淡々と描かれているのだ。
この映画の凄いところは、新しい事実は何も出てこないところだ。実は息子は無実だった、なんてことは一切無い。息子は殺人を犯している。その事実を受け止めて、なおかつ死刑が実施されないことを願い、再審を願う。
父親の、父親だからこそできる執念の青い炎が燃えています。

主人公の父親を演じたブリュノ・クレメールが抜群の存在感を示しています。何があっても表情を変えない寡黙で頑固な(執念深い?)役を見事に演じています。いいなぁ。
最後に息子の成功を見届けて、そっと劇場を後にする姿がなんとも言えません。

ただこの映画。予告編だけ観て「どんな映画だろう? こんな映画かな?」って想像しているほうが良かったりして(特に、橋の上をこのお父さんがコートを着て歩いていく姿が印象的ですね)。
今週一杯、OS劇場C・A・Pで上映中です、見たい方は急げ!

おしまい。