「白い船」

素直に感動する


  

先週のことですが、出張で島根県へ行ってきました。出雲市と松江市とその周辺。
島根へ行くのはほんとに何年ぶりでしょう。もう昔過ぎて思い出せないほど。山陰は温泉が多くていいですね。今回も松江の宍道湖温泉に宿を取った。そして夕方、晩、朝とたっぷり入ってきました。残念ながら宍道湖に沈む夕陽を見ることはできなかったけど、夕焼け雲が茜色に染まってきれいでしたよ。

さて、松江で映画を観る。島根県の平田市が舞台の映画「白い船」。島根県では先行ロードショーで5月末から公開されている。大阪はお盆過ぎにOS劇場で公開予定。
松江市内に唯一ある(?)映画館は「松江SATY東宝」というシネコン。ここでも深夜割引をやっていて、ボクが観た20:35からの回は1,200円でした。木曜の夜とはいえ、200名は入れる劇場にたったの5人とは、ちと寂しすぎるぞ。同時上映中の「スターウォーズ」もパラパラ。ジブリのアニメも両手で数えられるほどのお客さんでした。ちょっと悲しい。次にここへ来るのはいつになるかわからないけど、その時まであるかな?

海沿いにある小学校の教室からは日本海が見渡せる(勉強に身が入らない絶好のロケーションだ)。
この学校で唯一の6年生好平は二日に一度、同じ時刻に大きな白い船が沖合いを通り過ぎていくことに気が付く。彼はいつしかこの船の通過を心待ちにするようになる。それを知った先生が調べると、この船は新潟の直江津と博多を結ぶ定期フェリー「れいんぼうらぶ」だった。
先生たちは、好平たちにこの船の船長さんへ手紙を書くことを提案する。すると、船長から丁寧な返事が届く。そしてある日、船長から電話がかかって来て、この日は特別に「れいんぼうらぶ」が好平たちの学校の近くを通ってくれることになる。いつもより近くで見るその船の大きさに好平たちは驚く。
こうして、好平たちと「れんぼうらぶ」とのほのぼのとした交流が続いた。

やがて子供たちは「この船に乗ってみたい」と思うようになる。先生や親たちも「子供たちを乗せてやりたい」と思う。そう考えるのはとても当たり前なことだ。そして、子供も大人も一緒になって「れいんぼうらぶ」に乗るために動き始めるのだ。
なにも難しいことのない単純なお話し。彼らはそうたいした障害にぶつかることが無く「れいんぼうらぶ」に乗り込み、船長さんや乗組員の方々と交流を楽しむ。なのに、この映画は痛く感動させる映画なのです。
翌朝「れいんぼうらぶ」は好平たちの住む平田市沖にさしかかる。船長の好意でいつもより陸沿いを航行している。大漁旗を満載した漁船が総出で「れいんぼうらぶ」を出迎える。このシーンを見たときに、ボクは胸も目頭も熱くなる。陸地でも町の人たちが、波止場や高台に繰り出して皆が旗を振ったり、手を振ったりしている。

なんか、当たり前ののようにトントン拍子で話しが進み、主人公たちが苦難を乗り越えて...、というこの手のお話しにありがちな展開を予想していただけに「あれ」っと思うのは確かだ。でも、この映画に出てくる人たちは本当にみんなピュアでいい人ばかり。こんな町の人たちや先生にに囲まれて育つこの町の子供たちは、ほんとにしあわせ者です。
そんな人たちが織り成す「いい話し」に素直に感動するのもいいものだ。こんな嫌な世界に住んでいるのだもの。

好平くん役の子役がなかなかいいです(今後が楽しみ!)。新聞記者役の尾見としのり、校長先生も好演です。地味な作品ですので、是非とは言いませんが、お時間が許せばどうぞご覧下さい。

おしまい。