「ナショナル7」

あたりまえのことなのに


  

続けてテアトル梅田で観たのが「ナショナル7」というフランス映画。
レイトショーだったのに「ガウディ...」よりずっと多い30名ほどの入り。

いままで、この手の話しを知らなかった。そのことが重要だ。
障害者だって、普通の人と同じように性欲もあるし、悪態もつきたくなるよね。それなのに今までそんなこと知らなかった。知らなかったのか知らんふりしていたのか...。

舞台はフランスにある障害者施設。ここに入所しているルネという中年のおっさんは介護員からも他の入所者からも嫌われている施設の「鼻つまみ者」だ。自分の担当の介護人を泣かすことに生きがいを感じているのか...。
最近、ルネの担当が若いジュリに代わった。彼女もルネの我が儘には泣かされるが、聞く耳を持ってよくよくルネの話しを聞いてみると、彼には一つの望みがあったのだ。このルネの望みは「健常者とセックスしたい」と言うものだった。
この彼の望みをかなえようと走りまわるルネ。冷ややかに見守るほかの職員たち。

どうして今までこんな根源的な話しが表面に出てこなかったんだろう? 障害者だって人間だ。食事もしたいし、排泄もする。文化活動もすれば、セックスだってしたくてあたりまえなのに!
あきらめとか我慢だったんでしょうね。

この映画の凄いところは、このストーリーの中でジュリがどれだけ成長したかに大きな力点が置かれていないところだ。彼女は主役には違いないが、あくまでも脇を固めているのに過ぎず、入所している障害者にスポットを浴びせているところがいいですね。ジュリのストーリーにしてしまえば簡単だし、感動的な話しになったと思うけど、そうはなっていない。

この映画で伝えたかったものは何なのか。それをよく考えてみたくなる映画です。
7月26日(金)まで茶屋町Loft地下のテアトル梅田で10:40、12:35と20:35の3回上映されています。もうあんまり期間は残っていないですが、是非ご覧ください。

次回は久々に試写会に行ってきました。「アイスエイジ」をご紹介する予定です。
夏休みに入って観たい映画が目白押し。上映中ではテアトルで「ラッキー・ブレイク」、ガーデンで「ホセ・リサール」、OSで「父よ」、リーブルで「拳神」、天六ホクテン座で「SPY_N」、ブルク7の「タイムマシン」、期待作はテアトルの「ピンポン」ですね。

おしまい。