「エンジェル・スノー」

思わず涙ぐむ、催涙ムーヴィー


  

思い返して見ると「アタック・ザ・ガスステーション」はごっつぃ豪華メンバーやってんなぁ。イソンジェ、ユジテ、ユオソンと暴れまわる4人組のうち3人は主役を張れるスターやもんなぁ。あとタンタラのカンソンジンがブレイクすれば凄いことになるなぁ。、映画が始まるまでは、そんなことを考えていた。

この映画の主演はイソンジェとコソヨン。
わかってはいるんだけど、思わず涙が頬を伝ってしまう、催涙ムーヴィー。
会場は新宿駅前にある新宿武蔵野館。封切り後、三週間は過ぎようかと言うのに、立ち見も出る大盛況。韓国映画だからではなく、口コミでうわさが広がっての動員でしょうね。もう少し大きなスクリーンで上映してもらいたかった(この新宿武蔵野館は大きさが異なる複数のスクリーンがある)。

今までの韓国発メロドラマのように「これでもか」って、催涙ガスを撒き散らしたり、仕掛けがあるわけではない。どちらかと言うと抑制気味の演出かもしれない。
それでも、これだけ涙を誘われるのは、ストーリーかな。

二人は結婚して6年が過ぎた仲のいい夫婦だ。でも、二人には子供がない、いや出来ないのだ。周囲はそれとなくこの二人に気を使って子供の話しはしないのだが、時として事情を知らない闖入者が二人を傷つける。親からの変なプレッシャーではないだけに、二人は悩みは深い。
もう、何度か人口受精も試みたのだが、コウノトリは二人に幸せを運んできてはくれない。最近の情勢なら、バリバリのキャリアウーマンのコソヨンは「子供を欲しくない」という設定でも驚かないけれど、逆だから却って新鮮さもある。
妊娠に最適な日にイソンジェが出張で帰らないと知るや、コソヨンは出張先にでも押しかける。この熱意は笑いを誘いさえするが、巧い伏線になっている。
やがて、二人の願いがかなう日がやってくるのだ。
この産婦人科の先生はなかなか味がありますね。

もっとじめっとしたお話しだと想像していたんだけど、前半部分はコミカルでさえある。生まれてくる子供のために家を引越し、子供部屋にはべビーベッドのみならず、山盛りのおもちゃにベビー服...。おまけにはおなかの赤ん坊と会話が出来る機械(これには笑った)。
しかし、後半は暗転する。
一番貧乏くじを引いているのがコソヨンのおばさんで、両親を亡くした彼女を女手一つで育てた母親代わりの存在だ。コソヨンにとって、この悲しみ、切なさをぶつけられるのはこのおばさんしかいなかったのだ。
クリスマスのパーティを始めようとするそのときに、コソヨンは産気づく。そのまま救急車で病院へ運びこまれる。赤ん坊が無事生まれたと知ったイソンジェの行動には意表を衝かれた。
暖かい人々が多い中、厳しく、冷淡な婦長、移植のコーディネイターなど要所にシリアスな人物を配して物語を締めていますね。

決して観ていて楽しい映画ではないのですが、観終わってから感動すると言うか、「よく、がんばったね」と声を掛けたくなるような作品なのです。

終盤には鼻をすすり上げる音があちこちから聞こえていました。ボクも恥ずかしながら...。
関西でも後日どこかで上映される可能性があるようです(日時劇場は未定)。お楽しみに!

次回は大阪で観た「バーバー」をご紹介する予定です。

おしまい。