「ドッジ Go! Go!」

甘いなぁ


  

甘い。
予想以上に甘い映画だ。ひょっとしてお子様向けに手を抜いてしまったのか。
もう少し踏み込んで、練りこんで作っていればこんな甘さはなかっただろうに。ちょっと惜しい。甘いと言うよりも、観客を舐めているのか?

40才のおっさんには、小学生の間でドッジボールがどれだけ流行っているのか分らない。でも、全国大会がある位だからそこそこ人気があるんだろうと想像は付く。それに主人公のゆき子がこれだけ燃えているんだもの、人気があってなおかつ面白いスポーツなんだろう。だからこそ、きっちりと作りこんで欲しかった。
この映画を観て「ボクも、私もドッジボールを始めよう!」と考える小学生がいるとは思えないし、実際にドッジをしている子供たちにしてみれば「こんなに甘くない、馬鹿にするな」と思ったハズだ。
フィクションは、大きなウソの前提に小さな事実を積み上げていかないと駄目だ。それなのに、この映画はその小さな事実をないがしろにしている。だから映画用の「お話し」にしか過ぎない。要するに薄っぺらい。厳しいことを書いちゃったけど、もう少し頑張ってほしかったな。

プロ野球選手を父に持つゆき子(田島有魅香)は横須賀でドッジボールチームに入っている元気な小学6年生だ。でも彼女のチーム・ドッジキッズは弱小チームで、同じ市内にある山手に負けてばかりで、全国大会に出場経験も無い。山手は去年も日本一に輝いているのに。
全国大会への予選を控えたある日、父親が韓国のプロ野球チームへの移籍が決まり、ゆき子はプサンの学校へ転校することになる。ゆき子の転校とチームメイトの離脱が重なってドッジキッズは存亡の危機に立たされてしまう。
プサンでぼんやりとしていたゆき子は現地の女の子と知り合う。この子にドッジキッズの窮状を訴え、一緒にゆき子のチームへ入ろうと誘う。この子の紹介でプサンの小学生5人を集めたゆき子は試合会場へ急ぐ。どうにか試合開始に間に合ったゆき子たちは、ドッジキッズに合流しさっそく山手との試合に臨む...。

いまどき、都会のチームで専用の練習場を持っているスポーツ少年団があるだろうか? ドッジキッズは凄く恵まれてる。専用の練習場があって、なおかつ25年も監督をしている閑人のコーチがいて、強くならないのはおかしいよ。それはチームの方針が勝利至上主義ではないと考えるのが普通だろう。でも、どうやら監督は勝ちたい、強いチームにしたいと考えているようだ。なのに結果が出ていない。それはあんたらの努力不足でしょ。現状のドッジキッズに対して、誰も同情しない。感じるのは情けなさか哀れみだけだよ!

主人公の田島有魅香が凄くいい。この映画はこの子でずいぶん救われてる。
今後に期待ですね。頑張ってください。

おしまい。