「黒水仙」

期待の大きさの割には平凡


  

ボクの東京出張にあわせるように開催された「Korea Super Expo 2002」。
昨年は確かインテックス大阪で開かれていたような気がするんだけど、今年は幕張メッセが会場。
その一環で「韓日フィルムフェスティバル」が開かれていて、この日は日本未公開の「黒水仙」が日本語字幕付きで上映されました。2001年の制作です。
幕張メッセ内の国際会議場にある広いホールに椅子を並べただけの会場ですが、なにせ「無料」なので文句は言えません。でも、スクリーンは随分上に設置されていたので、前の人の頭はそんなに気にならなかったハズです。

一言で表現すると「アンソンギがかっこいい!」って感じかな。
イジョンジェがさんざん苦労して捜査しているんだけど、最後の最後に美味しいところはアンソンギが持っていっちゃった。

時は1950年、朝鮮戦争の戦火が盛んだった頃。巨済島には捕虜収容所があり、北の捕虜達が大勢送り込まれていた。この捕虜達を支援して、脱走の手引きをする地下組織に属していたのがイミヨン(「インディアン・サマー」に出ていた人ですね、底抜けの明るさではなく、どこか陰のある幸薄い雰囲気を持っています。でも、今回の役にはちょっと貫禄不足かな)。
このイミヨンと彼女の家に住む小作人の息子・アンソンギの50年に時を超えた純愛がテーマになっています。

そして、現在のソウル。
脱走事件にまつわるイミヨンの罪を全てかぶり50年の刑に服していたアンソンギが恩赦で刑期を少し残して出獄が許される。彼の出獄を待っていたかのように、捕虜脱走事件に関与していた関係者が次々に殺される。
一番最初に殺された男の事件を担当する若い刑事がイジョンジェ。
捜査が進展しないなか、被害者の部屋で見つけたのが古い2枚の写真。細い糸を手繰るように調べる中、イジョンジェが手にしたのはイミヨンがしたためていた古い日記だ。この日記を読み進めるうちに、この連続殺人事件は50年前に起こった捕虜脱走事件が関連していると確信する。

イミヨンの日記で過去を振り返るというアイデアはなかなかいい。彼女は若かりし頃の回想シーンでは好演している(アンソンギの「若さ」には少しムリがあるけどね)。
でも、イジョンジェが謎に気付くきっかけがあれではなぁ...。これだけの事件なのに謎解きが安直すぎるような気がしますね。わざわざ宮崎でロケする意味があったのかどうか...。
それと、とうとう最後まで殺されたのが誰なのかさっぱりわからなかった。みんな年喰ってしまうんだから、人物紹介をもっと念入りにしないと(集中力の問題かもしれないけど)。また、日本で市会議員までしたという人の日本語、あれはないやろ、いっそのこと吹き替えの方がいい。

期待の大きさの割には平凡。 上映前のアナウンスでは、日本での劇場公開の予定は無いということでした(それも仕方ないかな)。
イジョンジェかアンソンギかそれとも韓国映画のファンなのか濃そうな方がけっこういらっしゃいました。会場はほぼ満席という盛況でした(すごい!)。

おしまい。