「燃ゆる月」

折角の豪華キャストが...


  

有楽町にあるスバル座はJRの駅から近くていいですね。館内の傾斜がほとんどなくて必ずしも観やすい劇場ではないのですが、ボクの好きな劇場の一つです。
このスバル座で観たのが先週公開されたばかりの「燃ゆる月」。原題のサブタイトルに「銀杏(いちょう)のベッド・エピソード2」と付いています。一組の仲睦まじいカップルとそこに横恋慕する男という設定が同じだけで「銀杏のベッド」からは独立した別の作品として楽しむことが出来ます(ほんとはもう少し関連があるけどこの作品だけ観ても大丈夫)。

ちょっとくどくてぬるいところがある。
超豪華キャストでいわゆる「大作」なんでしょうが、スピード感にも欠けるしね。惜しいなぁ。

遥か太古の昔に、ファンサン族とメ族というそれぞれ対立する部族が「神の山」とあがめられている「神山(シンサン)」のふもとに住んでいた。神に呪われたメ族の族長は、この呪いを解くための生け贄に捧げるために、ファンサン族の血を引く子供を産む。この娘ピは、月食の夜、生贄として捧げられる寸前にファンサン族の父親に救い出される。そしてファンサンの部落にやってきて成長したピは、ファンサンの若者タンと恋に落ちる。
ピ役はチェジンシル、確か巨人の韓国人投手と結婚していましたよね。「手紙」の時とはまるっきり感じが違うし、若々しい。タンはキムソックン、なかなかかっこいい、相撲の舞の海に似ているような気がするけど...。ファンサン族の若き族長でありタンの幼馴染みジョクにソルギョング(今回は損な役回りだ)、ジョクのフィアンセにキムユンジン(「シュリ」の人ですよ)、そしてメ族の族長にイミスク(「情事」とはガラッと変身しています)。あぁ、ほんまにごっつい豪華メンバーだ!

そんなに複雑なストーリーではないのに、どうも演出がわざと話しを複雑にしているとしか思えない。もっと普通に撮るだけでもっといい映画になったんちゃうかなぁ。アクションかドラマかどちらかに絞るべきだったと思う。
ソルギョング演じるジョクがちょっと弱いなぁ。野蛮でもなんでもいいからもっと押して、押して、押しまくって、喜怒哀楽や自分の感情(腕力でもいいけど)をオモテに出していかないとこの時代は生き残れなかったはず。それにそうしないと、命を懸けてもピを愛するなんて、こっちにはいっこも伝わって来ないよ。それに扉の影から二人の抱擁を息を殺して見ているような優柔不断なソルギョングはどうもなぁ...。それに引き換え、タンはわかりやすく上手く描かれている。
神山の森に潜む謎の戦士と蛇みたいな森の精(?)はちょっとわかりにくかった(今でも「???」やけど)。謎の戦士たちがファンサンの若者がまだ残っているのに引き上げてしまうのは何故?

ちょっと中途半端な作品でした。
「武士」「飛天舞」など韓国ではちょっとした時代劇ブーム。衣装とかそれなりには楽しいけど、ボクにはちょっと...。
この「燃ゆる月」も大阪では動物園前シネフェスタで公開の予定があるそうです。ソルギョングのファンの方はどうそ。でも、今までのソルギョングとは違いますよ(?!)。

おしまい。