「Laundry」

心がほくほくしてくる


  

広島へ行ってきました。で、懲りもせず足を運んだのが鷹野橋にあるサロンシネマ。
広島駅からだと、駅前からちんちん電車(ヒロデン)の2番・宇品(広島港)行きに乗り、鷹野橋という電停で下車。横断歩道を西へ渡って商店街に入り一つ目の角を左(南)に折れると見えます。ここの特徴は、とにかく座席がいいことです。ほんとに家の居間で寝転がって映画を観ているような気になりますよ。左右の幅も前後の幅も言うことなし! ヴァージンシネマズのプレミアムシートよりもいいです。
19:10からの回でしたが、お客さんは10名ほど。ボク以外は若い女性でした。

「GO」で昨年の映画賞をたくさん受賞した窪塚洋介が主演、相手役には小雪。そして内藤剛志が出ています。基本的にはこの三名だけのこじんまりした作品。言わせてもらえば、小雪の妹さんのエピソードは思い切ってカットして1時間40分程度の作品にしてもらいたかった。でも2時間を超える上映時間はさほど気にはならなかったけどね。

予告編よりもずっとずっと良い出来だった。まだ観ていない方にはおすすめの映画ですよ。
この後どうなるねん、って気がしないでもないけど、観ていて切なくて、それでいて心が癒される、そんな作品なのです。また、音楽も良くて、主題歌は心に残りますね。サントラは買わないけど。

何とも不思議な味わいだ。決してハッピーエンドではないんだけど、観終わってホッとすると言うか、心がほくほくしてくる。
テーマは、都会に住む若者の孤独であることは間違いない。考えさせられるのは、都会はこれほどまでヒトを孤独にしてしまうのかということだ。主人公のミズエが住むワンルームマンション(独身者用アパート)は狂気を産む温床なのか?
深く傷つき、心の均衡を著しく欠いた女性が、障害を持った純真な若い男性との出会いによって徐々に癒されていくというストーリー。

「愛だよ、愛。そういうのを地球では愛って言うんだよ。宇宙では知らないけどね」

計算のない純粋な愛(それとも「思いこみ」?)ってどれだけ人の心を癒して、暖かくしてくれるのかよくわかる。
内藤剛志の役どころ、セリフもなかなか決まっている。
窪塚洋介は役者として、素晴らしいものを持っていることが良くわかる。
「GO」のときよりも数倍いい。
この映画で初めて出会った小雪という女優さんも、陰のある芝居を旨く演じている。

裏切られ続けた人が、最後には自分自身も裏切ってしまう。
でも、最後の最後にもう一度、人の温かさに触れることができる。なんとも素敵なストーリーじゃない。
夢をあきらめていたり、忘れかけている人に是非ご覧いただきたい佳作です。
大阪では扇町のミュージアムスクエアで上映中です。

おしまい。