「僕にも妻がいたらいいのに」

ちょっと期待はずれ?


  

チョンドヨンとソルギョングの二大スタアが競演。
ほんとに、チョンドヨンっていいなぁ。
これと言って目新しいストーリーでもないのに、この映画がそこそこヒットして、日本でも上映される。
そしてボクも観に行く。この映画のいったいどこに惹かれてしまうのだろう。

チョンドヨンとソルギョングの魅力が大きい、と言うか、この二人の存在抜きにしては、この映画は語れない。この二人がいなければ、平凡な男と女の、平凡な恋愛物語を淡々としたタッチで描いている平凡な映画だ。
でも、この二人が主演しているにもかかわらず、物語として、映画として、もうひとつ面白みに欠けるのはどうしてだろう?
それは、型破りなところが一つも無いからかな。全てが予想の範囲内で決着(進行?)してしまう。意外性がない。「あらっ」とか、「ええっ」て場面があまりにも無さ過ぎる(強いて言えば、ソルギョングが唐突に手品をはじめる箇所ぐらいか?)。 やっぱり、ソルギョングには「型破り」な展開を期待してしまう。
一番の肩透かしは、二人が一緒にエレベーターに閉じ込められるシーン。ふつう、この場面で何事も無く終わる? ソルギョングは眠ってしまい、チョンドヨンは彼の靴に自分の靴を重ねるだけ。これからどうなるのかと、身を乗り出したら、場面は切り替わってしまう(悲しかった)。

では、この映画がまったく面白くなく、つまらん映画かと言うと、決してそんなことはない。 素敵なエピソードが、そこかしこに散りばめてある。
チョンドヨンが500ウォン硬貨を山盛り銀行の窓口に持って行き、それを床にぶちまけてしまい、何枚か無くしてしまっても、開き直るシーンは面白かった。こんな彼女の発想は日本では考えられないけど、韓国ならあるかもしれないなと思ってしまう。
無人のATMで、監視カメラに向かって話しかける。今まで、そんなことは考えたことも無かったけれど、次からはボクもカメラに向かってギャグの一つでも飛ばしてみたくなる(いまだに実行していないけど)。
ヤクルトを飲むときに、ふたを取らずに、底を噛み切って飲んでみたくなる。 また、結婚を決めた後に、友人の運転するクルマに乗って、昔のガールフレンドの家の前を通り過ぎてみたくもなりますね(これをするチャンスはきっともうないけどね)。

チョンドヨンが、ソルギョングの銀行のソファに座ってクーポンをちぎろうとしていた雑誌、「シネ21」の表紙は、チョンドヨンその人だったのではないでしょうか(カバーがかかっていてぼやけていたけど)。
また、ソルギョングが病院で再開する学生時代の女友達の方、どこかで見たことあるなぁって思っていたら、「プライベートレッスン/青い体験」で主人公の友人が熱をあげる女の先生をしていた方(チンヒギョン)でしたね。 それに、ソルギョングの悪友は「チング」でサンテクを演じていたソテファです。
しかし、事前の期待ほどではなく、どうもテンポも歯切れも良くない映画でした。ウ〜ン!

さすがにドキュメンタリー「空色の故郷」とは違い、お客さんは座席数(120席)の半分ほどの入りでした。しかし、この映画祭に来ている人って、きっとコアな韓国映画ファンなんだろうな(ボクもそうか!)。
この映画がメジャーな映画館で上映されることはないでしょうから。皆さんがこの映画を観るチャンスは薄そうです。どうしても観たい方はこまめにいろんな情報をチェックしていれば、思い出したように上映されるかもしれません(そこまでして観る映画でもないような気もするけど...)。
次回はこれも「大阪韓国映画祭2002」で観た「ライバン」をご紹介します。

おしまい。