「光の旅人/K-PAX」

なんとも不思議なお話し


  

バナナが食べたくなる映画を観た。
いや、不思議な映画を観たのだ。

大して期待していた訳でもなく、予告編を観て、そのまま前売りを買った。ケビン・スペイシーがサングラスをかけて、皮のままバナナをムシャムシャと旨そうに食べるのだ。

アメリカの映画にしては珍しく、恐ろしく説明が下手くそな映画。
ありがちなようで奇抜な設定。同じ宇宙から来た生物体(!)を描いても、人間関係が単純で、心が病んでいない旧ソ連が映画を作るとアブドラジャンになり、病める国アメリカが作るとこの映画になるのか。
まず、否定するところから始まる。プロートが宇宙から来たと言っているんだから、素直に信じればいいじゃない。そうすると、プロートからもっと有益なお話が聞き出せたのとちゃうんかなぁ。

どうしてプロートが同じ病棟の患者達から人気があるのか、心を癒しているのか、希望を与えているのか。そこを幾つかの具体的なエピソードで見せてくれないと、ボクはなんとなく分かるというとてもあやふやな気分でこの映画を観続けなければならない。
精神科の医師・マークがどうしてプロートにここまで入れ込むのか、これも説明不足でよく分からない。
クスリが一切効かないプロートがどうして催眠療法だけ効くのかも不明?

こんな説明不足で不親切な映画(まるで中国の映画のようだ)なのに、何故か不思議な魅力を感じてしまう。
なんか、とりとめのない夢をみているような感じだ。そして、この夢を見終わった「寝起き」がなぜか爽やかやねんな。
プロートは映画の中で人を癒すだけではなく、観ているこちらも癒してくれる不思議な能力を持っていたのかな。

もちろん、必見の作品ではないけれど、このゴールデンウィーク中にやることがないんだったら、ご覧になっても損のない映画なのではないでしょうか。もちろん、最後まで「さっぱりわからん」という人もいらっしゃるでしょうけどね。
梅田では三番街シネマで上映中。
5/1の映画の日だったので8割ほどの入りでした。

おしまい。