「ステイト・オブ・ドッグス」

予告編とのギャップ


  

予告編と本編とのギャップが大きかった。

モンゴルでは、犬は死ぬと人間に生まれ変わると信じられているらしい。モンゴルの首都ウランバートルの路地裏で野良犬をしているバッサルは、ある日、野良犬駆除のハンターに撃ち殺されてしまう。死んだ犬の魂は、死んでからその亡骸が朽ちるまでの間、肉体を離れて自由に好きなところへ行けるのだという。生まれ変わっても人間にはなりたくないと考えたバッサルの魂は、幸せだった頃の自分の過去へと旅立つことにした。

こう書くとなんだかお伽噺のようなストーリーを期待するかもしれないし、何かファンタジー映画のような中味を期待するかもしれない。事実、予告編もそんなノリだった。
でも、この映画は現在のウランバートル(モンゴル)のスケッチなんだろうか? 急激な社会体制の変化に付いていけない市 民の姿をバッサルの目を通じてレポートしているのだろうか?

それにしても、面白くない映画だった。

1時間40分ほどだけど、限りなく退屈で何度も何度も時計を見てしまった。特にこれと言ったストーリーを期待していたわけでもないんだけど、あまりにもひどい。意味がない。
まず、ボクの集中力が足りなかったせいかもしれないけど、最後の最後までどの犬がバッサルなのかよくわからなかった。 シーンの飛躍が多くて、バッサルがどうして野原を飛び出して牧羊犬ではなくなり、どのような経緯でウランバートルで野良 犬なったのかも分からなければ、どうやって若い妊婦と知り合った(?)のかも理解できなかった。
そして、この映画がバッサルの視点で進んでいくのか、第三者(旅行者?外国人?)による単なるモンゴルのスケッチとして進んでいくのか?  よく分からない。
さらには、日蝕に何の意味があったのか? 最初と最後に出てくる詩人のおっさんも意味不明だ。
まったく、作り手の独りよがりの作品で、もし愛犬家がこの映画を観たら次々と射殺され、街に転がったままの犬の姿にさぞかしショックを受けられたことでしょう。

ボクにとって収穫はウランバートルという街がどんなところなのかおぼろげながら分かったところでしょうか(行くことはないでようが)。市民の皆さんの生活も垣間見ることができたしね。

会場は渋谷のユーロスペース。もうしばらくここでモーニング&レイトショーで上映しているようです。土曜の朝11時からの回でしたが、物好きが30名ほど入っていました。10人までだと思っていたので、正直意外でした。
まっ、予告編に惑わされることもあるわな。

おしまい。