「マルホランド・ドライブ」

とても言い表せない、もっと早く観れば良かった


  

春から中国地方も担当することになり、月に一回は泊まりで出張することになった。これで、毎月、東京と広島・岡山へは行くということだ、たまには山陰にも足を伸ばすかもしれない。
で、今週は火・水は広島、木は岡山で、いったん大阪へ戻り、金・土は東京。ちょっと忙しい。
今回観てきたのは「マルホランド・ドライブ」。デビッド・リンチ監督の最新作。2月には劇場公開が始まっていたのに、ようやく今ごろになって観に行った。しかも観たのは広島でもちょっとマイナーな劇場・シネサロン。場所は鷹野橋という中心部からちょっとそれたさびれた商店街。映画館はこの商店街をちょっと入ったところにある雑居ビルの3階。雰囲気は九条にあるシネ・ヌーヴォに似てるかな。大阪での公開が終了してしまい、もう観られないと諦めていたが、webで検索してみるとまだやっている。ラッキー。19:15からの回でお客さんはたったの5名。
ここの劇場は凄いシートで、ほんまにリラックスして鑑賞できます(まるで、家の居間でねそっべって映画を観ている感じ)。広島では数少ないミニ・シアター系の上映館。もう10年ほど前にここでポーランド人の監督が撮った北朝鮮の映画を観たことがありました。

さて、本題。
映画を観終わって、ホテルに帰って、シャワーを浴びて、ビールを飲んで、ベッドに横になって、そして眠りに落ちるまで、ずっとこの観終わった映画のことを考えていた。こんなに考える映画も初めてだ。
上映時間は2時間25分。珍しく長さは感じなかった、それどころかあっと言う間に映画は終わってしまった。

この映画に関しては、何を書いてもネタバレになりそうだし、どう表現してもちゃんと伝わらないような気がする。そして、もう一度劇場のスクリーンで観てみたい(観たいと言うよりも、確認したいのかもしれない)。 そんな不思議で魅力たっぷりの映画なのです。

一応手短にストーリーを紹介すると、女優志望のベティが叔母を頼ってオンタリオからハリウッドにやってくる。ロケで長期間留守にする叔母さんのフラットを借りて、映画のオーディションを受けるのだ。そこへ突然現れたのがリサ。彼女は前夜自動車事故に遭い、記憶を無くしている。2人はリサが何者なのかを探し始める...。
主要な登場人物はベティとリサだけ。後は映画監督。
その他に謎めいた人物はそれこそ「やまのよう」に出てくるんだけど、その人物達の登場が伏線なのか、意味が無いのかあるのか、それはさっぱり分からない。
いろんな人が出てきて「謎が謎を呼ぶ」んだけど、それらの謎がなんと謎のまま捨て置かれてしまう。観ているこちらはほんとに混乱しまくって、何が何やらさっぱりわからない。でも、全然分からないのかと言うと、そうではなく「なんとなくは」分かるから始末が悪い。

ベティ役のナオミ・ワッツという人が凄くいい。彼女の明るく健康的な表情とスタイル。そして後半に見せる嫉妬に燃える病的な彼女。もちろん前半のワッツがいいんだけど、なんとも素敵な女優さんです。

大阪ではもう上映されないかもしれないけど、こりゃ必見の作品だったのではないでしょうか。

おしまい。