「エネミー・ライン」

アメリカ人の感覚って...


  

予告編を観て気になる映画ってありますよね。ボクにとってこの映画がそうだった。
主人公の軍人がとにかく走って走って逃げ回る。彼を救うためにジーン・ハックマンがヘリに乗って駆けつける、って感じの予告編だった。予告編に釣られて映画を観てしまうことが多いから、ほんと予告編って大切だと思います。
そして、ボクが好きなのは、ボクがもう観終わった映画の予告編を劇場で見ること。巧く作っているなってニヤっとするものもあれば、ウソばっかりつきやがって!となるものもある。そのうちどの予告編が一番良かったのか考えてみることにしよう。

さて、この「エネミー・ライン」の場合、本編と予告編は明らかに別物だった。 そもそも、この映画の考え方の根底にあるものが気に食わない。
まず、アメリカ人は常に正義の味方で、アメリカに敵対するものは悪なのか? そして、アメリカ人の軍人を一人救助するためにセルビア人は殺されようが何をされようが構わないのか?
この二点が非常に気になってこの映画を楽しむことはできなかった。おかしいよ! これが一般のアメリカ人の考え方だとするならば、この国際感覚の欠如はそれこそ「いかがなものか」だ。まっ、そんなことをボクが言ったところで仕方ないけどね。

マッハ3のスピードで空を駆け巡る戦闘機に対空ミサイルが襲いかかる。ミサイルをかわそうと必死に操縦するが、なにしろミサイルだってハイテクのかたまりだ。
ちょっとやそっとではどっか他の場所へ行ってはくれない。このシーンはなかなか迫力があった。軍事オタクのチャッピーなら当たり前のことなんだろうけど、ボクは最近の空中戦はこんな具合になっているとは全く知らなかったので、それこそ驚きの連続だ。結局、被弾してしまい、パイロットと搭乗員はパラシュートで脱出だ。そこへ、敵が襲い掛かってくるからたまらない。パイロットは銃殺されてしまい、主人公のバーネット大尉(オーウェン・ウィルソン)は命からがら逃げ出す。逃げ出すといっても手にしているのは無線機と拳銃、そしてわずかな携帯非常食だけだ。サバイバルという言葉は彼には似合わない。それこそ、彼に出来るのは走って走って逃げ回るだけなのだ。しかし、無線機のおかげで、彼の行動はなんと、宇宙から観察することができるのだ。この光景にボクは目を疑った。現代の技術を持ってすればそんなことが可能なのか!
ハイテクのかたまり同士がぶつかり合う現代の戦場においても走る、逃げるという根源的な行動が生死を分けるというのが面白い。
映画のお約束だけど、敵が放つ銃弾は面白いほど当たらないね。

設定をボスニアにしなくてもいいじゃないか。もっと架空の街や地域にしたらどうだろう。この映画で傷付いた人もいるんとちゃうかな。ある意味後味が悪い映画だった。

梅田の三番街シネマで今週の金曜まで上映しています。この映画を観るためにロビーに行きベンチに腰を下ろしたら、声を掛けられた。そこにいたのはK企画のかっちゃん。かっちゃんも最近はよく映画を観ているようですね。仲良くかっちゃんと並んで映画館賞。こんどはもっといい映画に行きましょう!

おしまい。