「タイムリセット/運命からの逃走」

果たして5人の命を救えるのか?


  

いや〜ぁ、暑かった、東京は。
もう春ですねぇ、なんて感じではなくて、もはや初夏を思わせる暑さだ。気味が悪い汗をたくさんかいて、気持ち悪かった。千鳥ケ淵の桜もちらほら開いていましたよ。いつも泊まるホテルがまたキャンペーン価格を登場させてくれたので、今月も一泊してきました。

金曜日の夜に観てきたのは、タイの映画。
「タイムリセット〜運命からの逃走」というタイトルだけど、もうちょっと名前の付け方を考えて下さいね、って感じ。あまりにももっさい。
以前にご紹介した「レイン」の監督が撮った作品なんですね。「レイン」ほど垢抜けてはいないものの罪のない楽しい映画になっています。

キネカ大森でアジア映画を観るときはいつも100名も入れない小さなスクリーンだったんだけど、今回は250名(もっとかな)は入れるスクリーン。こんな広いところもあったんだと、素直に驚きました。しかし、お客さんはボクを含めてわずかに10名とかなり淋しい(北風びゅーびゅー吹いてました)。

さて、幸せそうな結婚を控えたカップルがいるのね(結婚する気なのは男の方だけかもしれないけど)。女性は敬虔な仏教徒でデートもお寺にお参りしてからだ。今日も少し遠くにあるお寺へお参りに行った。男の方は退屈で仕方ない。
そのお寺からの帰り道。女の子は道端にいる子犬に気が付く。この子犬に触ろうと道路へ飛び出したところにクルマが突っ込んでくる。間一髪で接触を免れたように見えたが、彼女は口から血を流し倒れてしまう。
病院へ運ばれた彼女は手術を受けるが、医者はクビを振るばかり。彼女が助かる見込みは20%以下だと言う。
男はショックを受け、今日、彼女とお参りしたお寺へ行き、お坊さんをなじる。お坊さんは「これは運命だ」と語り、さらに「彼女の前世は悪人で、一家五人を惨殺した強盗だった。その報いを今彼女が受けている。彼女が手を差し出した犬はこの事件の生き証人だったのだ」と言う、そして「もし、彼女を救いたければ、彼女の前世の業を消すために五人の命を救いなさい」と彼に告げるのだった。
でも、どうやって五人の命を救えばいいのか分からない。彼は打ちひしがれ、寺を後にする。彼女が事故にあった現場を通った時に、彼は天啓を授かる!

彼が手にした新聞紙には、未来の新聞記事が浮かび出てくるのだ。
「警察官が自殺!」という見出し。警察幹部が公金を横領した上にその金を競馬に賭けてすってしまい、拳銃で自殺したと言うのだ。
どうしたら、この警察官の命を救えるのか。彼は競馬場へ向かう。そして、発売締め切り間際にこの警察官を見つけた彼は、なんとか馬券の購入を断念させることに成功した。
そのころ、病院では彼の恋人の脈拍が急に安定して、看護婦が驚く。
翌朝、彼は例の新聞紙に「少年が受験の失敗を苦に、飛び降り自殺」という記事が浮かび上がるのを見つける。彼は掲載されている写真を元に団地にあるアパートを特定して、屋上で少年が現れるのを待っている。少年は彼の必死の説得に応じて自殺を思いとどまったのだ。
やれやれと思った彼は食堂で朝食を頼む。ふと見上げた食堂のテレビは駅から身投げをして汽車に轢かれてしまった少女のことを告げている。周囲を見回すとこのテレビを見ているのは彼だけのようだ。彼は注文した料理も食べずに駅へ駆け出す。次に新聞に浮き上がってきたのは強盗犯を逮捕する際に銃撃戦になり警官が死亡するという記事だ。
そして、最後の五人目は小学生が学校近くでクルマに轢き殺されるという記事だった。タクシーで急いで現場に向かう。そして、校門から勢い良く飛び出していく少年を捕まえた彼なのだが、少し向こうでクルマの急ブレーキの音と衝突音。彼は少年を間違えてしまったのだ。現場へ急ぐ彼が目にしたのは...。
手にした新聞には自分の彼女が死亡したという死亡告知の記事が浮かび上がる。

最後の詰めは甘々なんだけど、許しましょう。
スローモーションを多用した画面は、適度な緊張感を産んで、観ているこちらも街中を汗びっしょりで駆けずり回る主人公に同化できます。この主人公が決して二枚目のハンサムなお兄ちゃんではないところがいい。素直に共感できるもんな。彼女はなかなかべっぴんさんやけどね。でも、タイの人は名前が覚えられない、日本人にとっては発音が難しいですね。
あんまりお金が掛かっていない映画だけど、着想が良くて、テンポのいいストーリー運び、期待以上のデキです。
デートにいかがですか? まずまずのオススメです。でも、関西で上映されるかな?

おしまい。