「マンボ!マンボ!マンボ!」

どう見てもサンバ!サンバ!サンバ!でしょ


  

舞台は北アイルランドのベルファスト。この街の西部に住む、冴えない高校生が主人公のラブコメディ。
日本人は、人種や国籍に対しては、時としてかなり敏感だが、宗教に対しては鈍感というか、無知で無関心。だけどここでは街の西部に住む人たちはカトリックで、主に貧しくて労働者階級。対してプロテスタントは裕福で支配者階級という構図になっている。両者は何かにつけ対立している。単に対立しているだけではなく、銃撃事件やテロの原因になることすらあるから大変だ。
この映画では、そこまでは描かれていないけどね。印象的なのは「西ベルファストに住んでるの?人を殺したことある?」と悪気のないセリフが高校生の口から飛び出してくるところかな。今ならさしずめ「イスラム教?飛行機の操縦したことある?」ってところでしょうか。

ダニーは高校のサッカー部でもレギュラーを確保できていないが、将来の夢は地元のプロチームで活躍することだ。
そんな彼が天からの啓示を受ける。それは地元のチームに加入したブラジル人が口にした一言だ。すなわち「サッカーはサンバのリズムだ!」。
そこで、ダニーは街のダンス教室の門を叩く。そこで出逢ったプロテスタントの女の子に一目惚れ。彼氏を押しのけて、彼女を手に入れ(?)、ダンスもサッカーもグングン上達、プロチームへの道も開けたかと思っていたが...。世の中そこまで甘くない。

ダニーを取り巻くクラスメートや先生、コーチ、ファストフードの店長などが面白い。ヒロインのルーシーも気が強そうでなかなかかわいらしいですよ。ルーシーの元彼の豪邸(家に室内プールがある!)も凄い。高校のグランドなのに、全面芝生なのには驚くよね。
ダニーはヒマさえあればいつもバナナを喰っているのはどうしてかな。それに、このダニー、ちょっと線が細すぎるな。ストーリーが進むに連れてもっと表情や仕草が変わって、成長していくはずだから、もう少し骨太の俳優を起用して欲しかった。今のままだと最初から最後まで変わってないよ。

ラストは「大甘」なとこもあるんだけど、現代北アイルランド史の雰囲気をさらっと勉強して、何も考えずにのほほんと観る分には、予告編通り「爽快系」の軽やかな映画です。気の弱い男の子が、デートで観るのに最適ではないでしょうか。恋いもサッカーも大事なのは、ここ一番の「押し」やで。
梅田のOScapで今週の金曜日まで公開中。月曜の最終回ということもあってか10名ちょっとのお客さんでした。

おしまい。