「すべての美しい馬」

圧倒される映像の美しさ、馬の美しさ


  

災難は忘れた頃にやって来る、どころか「続けて」やって来る。
朝、目覚めてお茶を飲もうと冷蔵庫を開けると、ちょっとヘンだ。お茶もあんまり冷えていない。冷凍庫を開けると、氷がみんな溶けてる。
冷蔵庫が壊れてしまった。前の冷蔵庫が壊れて、買い換えてから4年しか経っていないのに!
ショックや。冷蔵庫って夏場に潰れるのよね。
新聞に入っているチラシを見ると10万円ほどするみたい。クルマといい、冷蔵庫といい、ボクからどれだけお金をむしり取れば気が済むのか!

そんなショックが尾を引くままに観たのが、梅田のOS/CAPで公開中の「すべての美しい馬」。予告編を観たときに、すぐ前売り券を買いました。
ヒロイン・アレハンドラはやっぱり「オール・アバウト・マイ・マザー」で薄幸の修道女を演じていた方(ペネロペ・クルス)。この人なかなかいいなぁ。

お話しは、テキサスで長く続いた牧場に生まれた主人公は、祖父の死とともに牧場が閉鎖されることになる。職を求めて親友と馬で国境を渡り、メキシコにある大規模牧場へ出稼ぎへ行く。この道中やメキシコの牧場で様々な出来事に出逢い、成長していく。そして、一回り大きくなってテキサスに戻る、って感じやね。

圧倒されるのは、映像の美しさ。特に自然と馬たちの描写がいい。 こんな映画を観ていると、やっぱり映画は映画館の大きいスクリーンで観ないとアカンなぁ、と思ってしまう。こんな大自然を相手にのんびり(?)馬の背に揺られてメキシコまで旅をするなんて羨ましい。きっと実際に一日中、馬に乗っているのはシンドイのでしょうが...。

この映画で語られているのは「人としてのプライド」。それは何事にも替えられないほど大切なものなのだ、ということでしょうか。
主人公は、プライドを賭けて不法に奪われた馬を取り返す。そして、自らが犯した罪や、見過ごしてしまった米国人少年の死について、判事のもとで懺悔する、まるで教会で懺悔するように。こんなシーンにアメリカ人の「理想像」を見せられたような気がしました。
また、メキシコの牧場主の娘アレハンドラは、自らのプライドを賭けた約束のために、マット・ディモンとの愛を諦める。

ちょっとスマートすぎる演出で、さらっとしすぎているきらいはありますが「大人なのための童話」だと思ってご覧になられてはいかがでしょうか。8月一杯はOS/CAPで上映中の予定です。

ところで、この秋はまた韓国映画が相次いで上映されます。「イルマーレ」「反則王」に、とうとうシム・ウナ様の引退作(?)となってしまった「Intervew」も公開されるようです。お楽しみに!

おしまい。