「ブラス!」

物語としての強さはないが、実話が持つ感動がある


  

一昨年、昨年に続いて行ってきました。
映画ではなくて、勤務先からほど近い淀川の河川敷で行われた「平成淀川花火大会」。
なっちゃんが勤めを休んで夕方から場所を確保。345さんは食料係。で、ボクはビールとワインを持って、後から出掛けました。
河原はいい具合に風が吹いて花火見物にはもってこい。ビールをぐびぐび飲んでゴザに寝転がって見る花火は最高でした。

さて、映画のお話し。
去年は、雷がゴロゴロ鳴るなかを、今年はゴロゴロは抜きだけど、今にも泣き出しそうな真っ黒な雲が空一面広がる下を。行ってきたのは「豊中平和映画祭」。今年の会場は阪急豊中駅の駅前にある「ゆやホール」。こんな立派なホールがあるなんて知らなかった。昨年の会場だった「アクアホール」に比べたらずっといい。収容人数はアクアホールの方が多いけど。

で、観てきたのは少し前の英国映画「ブラス!」
最近よく観ている「英国労働者階級映画」のはしりのような作品ですね。日本でロードショー公開されたのは数年前のはずです。

この兄ちゃんどこかで見たことあるんだけど、どうも思い出せない。ちょっとイライラする。でも、物語に吸い込まれてしまい、どうでも良くなっていく。
帰りの電車の中で資料を読んでわかった(思い出した)。「スターウォーズ・エピソード1」に主演していた人じゃないか!

ヨークシャーにある鉱山が閉山されようとしている。この街には鉱山が無くなれば何も残らない。街中が閉塞感で溢れている。そんな閉塞感はこの街にあるブラスバンドの練習にも影響している。この日も古参の部員二人が、今日の練習限りでバンドを辞めようと相談している。正直なところ、ほとんどの部員はバンドどころではないのだ。
いつも一緒にいる5人を中心に物語は進んでいく。それぞれが問題を抱えながらも、炭鉱の閉山とバンドに取り組んでいるのだ。その問題は何も解決しないまま、むしろ閉山が決定してしまい、悪化していく。
ブラスバンド・コンクールの準決勝が行われ、グレムリー・コリアリー・バンドは第1位を獲得。ロンドンで開催される全国大会への出場権を獲得した。
でも、バンドの拠り所である鉱山はもう無く、全国大会へ出場するための費用もない。そして、バンドリーダーは病を患い入院してしまう。

こんな困難や閉塞感を打ち破って、ロンドンで優勝するまでをドラマ仕立てではなく、まるでドキュメンタリーのように、さらっとエピソードを繋いで見せてくれます。さすがに、全国大会で優勝するシーンでは胸が熱くなりました。
入院しているはずのバンドリーダーが病院を抜け出して、大会会場までやって来る(皆にお見舞いとしてもらったタクトを持って)。そして、優勝カップの受け取りを拒否して、政府批判の演説をぶつ。
オープンカーの2階建てバスに乗っての凱旋演奏やバンマスが入院している病院の庭での演奏などは素晴らしかった。

ボクはブラスバンドに詳しくはないんだけど、サッカーよりもうんと多い人数で一つの音楽を奏でるブラスバンドが少し羨ましくなりました。

おしまい。