「青の瞬間(とき)」

青いなぁ、まぶしくて、羨ましい!


  

今週はほんまに暑かったですね。みなさんお元気ですか? ボクは日曜に仁川で2時間ほど日光浴を楽しんだ(?)ために、熱中病にかかったのか、その晩からしんどくなって、月曜は一日ごっついしんどかった。もう若くないんかなぁ。でも、今は元気になっています。それにしても、この月・火曜は暑かったですね。

さて、今回ご紹介するのは「青の瞬間(とき)」という日本の映画。
会場は日本橋にある国名小劇。この劇場はどんなふうに読むのか、以前から少し気になっていたのですが「くにめーしょうげき」と読むそうです。
全部で36席しかないほんとに小さなこの劇場で、火曜日の午後7時からの回で、マイナーな映画だとはいえ、観客はボク一人だけ。初めての体験です。今を去る20数年前に今は無き北浜の三越劇場でロバート・デニーロ、ライザ・ミネリ主演の「ニューヨーク・ニューユーク」をたった二人で観たことはありましたが、まさか、この日一人で映画を観るなんて...。これまでも何回かは「今日は危ないな」って時があったんだけど、初めて行ったこの劇場で遭遇するとは思わへんかった。

島根って佐賀と並んで地味な県ですが、この島根県に島があるのをご存知でしたか?
隠岐ですね。この隠岐にある西ノ島がこの映画の舞台です。主人公は15才の中学3年生。高校への進学を控えた冬から春にかけての物語。
島で暮らしたことはもちろん無いのだけれど、他の土地とは海で隔てられた独特の閉塞感があるのでしょうね。出ていきたくても簡単には出られない、そして狭く小さいコミュニティ。
達夫はこんな島が嫌で嫌でたまらない。東京にある高校への進学を希望している。東京へ行き、何かしたいという希望があるわけではない。この島がイヤだから逃げ出したいと思っている。
そんな達夫は冬休みのアルバイトをきっかけに以前から淡い憧れを抱いていた車椅子に乗っている少女とつきあい始める。加奈恵と達夫は同い年だ。

福祉関係とかボランティアとは全く関係がない、達夫は憧れていた少女の車椅子が押せて嬉しいし、加奈恵は外へ連れ出してくれる達夫がいてくれて楽しくて嬉しい。ただそれだけ。

子供の頃の怪我が原因で車椅子生活を強いられている加奈恵にとってはただでさえ狭い島での生活に、もう投げやりなまでに行き止まりを感じている。自分が生きてきた存在の証明は子供を産み、育てることなんじゃないかと思い詰めている。でも、それもかないそうにない。
一方、もう数ヶ月もすれば、ここから抜け出して違う生活が待っている達夫は何も考えていない。ここでの今の生活が嫌なだけだ。

達夫は加奈恵に振り回されながらも、バイトが終わってからの深夜の散歩を楽しんでいる。付き合い方に積極的な(?)加奈恵の行動にはドギマキさせられているのだが、達夫には自分とは違った加奈恵の行き詰まり感が理解出来なかったみたいだ。最後まで。

青春の、若さの残酷さって何か後腐れがなくて、爽やかでいいなぁ。

必見の作品では無いと思いますが、ちょっとした佳作だと思います。少なくとも、一人っきりで観る映画ではなかったように思います。ちなみに、上映後にロビーに出ても、次回の開場を待つ人はいなかった。上映は7/27まで。
達夫の役の男の子はカワイイですよ。達夫の友人役の伊藤淳史もいい。

おしまい。