「マレーナ」

シチリアの女性とお友達になってみたい!


  

舞台はイタリアのシチリア島。 第二次世界大戦にイタリアが参戦した日から映画は始まる。主人公は、12才の少年と妙齢の若奥様。この奥様、挙式後わずか2週間で旦那を戦争に取られてしまっているのだ。
シチリアの子供が、子供から少年に脱皮するには、一つ自分の自転車を持つ、二つ長ズボンを穿く、という通過儀礼(?)があるようだ。レナートはこの日自転車を買ってもらう。この日、子供から少年への道を「半歩」進んだ彼は、長ズボンを穿くのとは別の方法で、少年へ脱皮していくのだ。

それは「年上の女(ひと)」への憧れ。

自転車に乗った友人達と目にしたのは、この街に住む男どもが誰もが色目を使い秋波を送り、女達は嫉妬の眼差しを向ける、マレーナ。
かわいそうな身の上なのに、類い希な容姿と色香のためにマレーナは同情されるわけでもなく、この街で孤高の女性になっているのだ。
彼女を一目見たレナートはたちまち恋に落ちる。ただし、片想いの恋に。
「恋」とは呼べない「憧れ」を胸に抱いてマレーナの家の前に佇んだり、彼女が外出すると自転車に乗り遠くからマレーナの姿をみつめる。
そんな思いは成就するわけではなく、並み居る大人の男たちの前でレナートの想いなんて芥子粒みたいなもんだ。
どんどん不幸になっていくマレーナに対して、彼女の姿を遠くから見ているレナートは何もすることができない。終戦後、人知れず街から離れていく彼女の姿をホームからみつめているだけだ。

出せるはずもなく、また読んでもらえるハズもないのに、海岸で一人書くマレーナに宛てたラブレター。いいなぁ。
背伸びしたい年頃のアモローゾを暖かく(?)見守る父親がいいね。それに、いつも行く散髪屋でようやく一人前扱いされて、散髪用の椅子に座らせてもらうところなど、芸が細かくて好感が持てました。

「シチリア女だから」というセリフが出てくるのですが、シチリアの女っていたいどんな方なんでしょうね。一度お知り合いになって、詳しく深く知ってみたいと思いました。特にマレーナ役のモニカ・ベルッチと。

最後の市場のシーンは蛇足なのか、それともこの市場のシーンのためにこの映画が作られたのか、判断は難しいですね。

会場は泉の広場の「梅田ピカデリー」。人気の「AI」が公開中とあってチケット売場の前は凄い人。でも、「マレーナ」はそうでもない、だいたい3〜4分の入りでした。

シチリアへ行ってみたくなりますよ!

おしまい。