「非・バランス」

人生はバランスなのね


  

弁天町で回転寿司を食べた。一皿100円均一ではなく、そこそこの値段はするんだけど、回転とは思えない。なかなか美味しかった。
ここでトビタシネマでの疲れを癒し、梅田へ転戦。
シネリーブルで観たのは「非・バランス」という日本の映画。土曜の昼下がりというのに10人も入っていなくて、トビタのにぎわいがウソのよう。場内は静かで、咳をするのもはばかれる。

予告編を観たときに、面白そうだなと思って前売りを買ったんだけど、正直言ってあんまり期待していなかった。入場者を見ても興行的にも成功とは言えないのだと思う。
でも、良かった。もう一度観てもいいかな。

まず、主演している派谷恵美(はたちやめぐみ)がいい。何事に関してもちょっと突き放してる感じの、今時の中学生を上手く演じてる。もちろんカワイイのもいいんだけど...。
それに相手役のオカマの役なんだけど小日向文世もいいのです。

小学生の時に受けたイジメがトラウマになり、「一つ、クールに生きる。二つ、友達は作らない」という方針で学校に通っている松本千秋は中学二年生。教室でも浮いていて、クラスメートからは「仙人」なんて呼ばれている。
今でも時々イジメを受けていたときの夢を見る。そんな悪夢から目覚めたときは、イジメの張本人の家に無言電話をかけて気を晴らす。でも、無言電話もホラー映画をビデオで見ることもや万引きをすることも、なにもかも千秋の心を晴らせてはくれない。千秋はほんとはやっぱり、心からの友人を求めていたんだ。
そんなとき、ふとしたきっかけで千秋はオカマバーのオーナー菊ちゃんと出会い、彼にだけ閉ざしていた心を開け始める。

菊ちゃんとの交流を通じて、千秋はだんだん人を思いやる気持ちや、人を愛するとは何なのかを学んでいく。
そしてトラウマから徐々に解放されていく。

言葉で書いてしまうと、なんかクサイ芝居のような気がするけど、少しずつ変わっていく千秋の表情を見ていると「あ々、良かったな」って気がしてくるのです。

菊ちゃんを見ていると「人間って何かを誰かを好きになるのは当たり前だし、そのために喜んだり、苦しんだりするのも当たり前。そんな時の感情の揺れを押し隠す必要はなくて、ありのままに人前に晒してもいいじゃないか、なにも恥ずかしがることではないよ」っと教えているように思えました。

いじめっ子のサトウユカリに、正面から思いっきりブチ当たっていけた千秋は確かに成長したんだな、と思いました。

この映画(それとも原作?)のいいところは、千秋の親や先生がほとんど出てこないところではないかな。もし、千秋と菊ちゃんの間に親が入ってきたらぶちこわしだっただろうし、親では見せられない「人間の弱さや悩み」を千秋に見せることによって、菊ちゃんは千秋を励ましていたのです。

話しに出てくる「緑のおばさん」のエピソードがとっても良かったです。みんな誰でも、何かにすがりつきたい時ってあるよね。それが悩める千秋には菊ちゃんだったんだ。

6/29(金)までシネリーブルで上映中です。時間がある方は是非ご覧下さいネ。

おしまい。